美容室の倒産が過去最多に、新規開店とコスト高が重し

■コロナ禍からの回復途上、新たな危機に直面

 東京商工リサーチの調べによると、美容室の倒産が2024年1~11月で107件に達し、過去最多を更新した。コロナ禍の一時的な支援策終了後、円安によるコスト増と新規出店ラッシュが経営を圧迫。物価高や人手不足も重なり、特に小規模店舗が多く影響を受けた。前年同期比37.1%増のペースは、美容業界の厳しい現状を浮き彫りにしている。

■業界競争と経営の課題

 美容業界は新規開業が相次ぎ、2023年度末の施設数は過去最多を記録。だが、店舗間の激しい競争が顧客の奪い合いを招き、価格競争が収益を圧迫している。さらに、美容師の離職率が高く、人材確保のための費用も増大。技術力や価格設定での差別化が難しく、経営の継続が困難な店舗が多い。

■倒産の傾向と影響

 倒産の9割は「販売不振」に起因し、主に負債額1,000万円以上5,000万円未満の小規模店舗が中心であった。再建型倒産は少なく、多くが事業の消滅に至った。従業員数5人未満の店舗が約9割を占め、規模の小ささが経営の脆弱性につながっている。美容業界はコスト増や競争激化に直面し、今後の経営安定化が課題となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京大学発スタートアップが開発、19自由度のヒューマノイドロボット  東京大学発スタートアップH…
  2. ■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額  東京商工リサーチは6月30日、2024…
  3. ■従来の検索では見つけられなかった本との出会いを創出  富士通<6702>(東証プライム)傘下の富…
2025年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■株主還元強化が市場の安心材料に  東京エレクトロン<8035>は8月1日、2025年3月期の業績…
  2. ■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける  前週31日の植田和男日銀総裁の記者会…
  3. ■利上げか、現状維持か?日銀総裁の決断で明暗分かれる8月相場  日銀の金融政策を巡る不確実性が続く…
  4. ■選挙惨敗の石破首相に退陣要求、政局混迷の行方  まるで狂言の『乳切木』(ちぎりき)を観るようであ…
  5. ■九州地盤銘柄に割安感、福証単独上場企業にも注目集まる  東京エレクトロンやアドバンテストなどの半…
  6. ■参院選で与党過半数割れ、石破政権の行方不透明に  7月20日投開票の参議院議員選挙は、大手メディ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る