相場の極意は見ざる言わざる聞かざる=犬丸正寛の相場格言

【先人の教えを格言で解説!】
(犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に残した相場格言を定期的に紹介。)※最新の情報に修正を加えてあります

■相場の極意は見ざる言わざる聞かざる

相場の世界で重要なのは、「見ざる・言わざる・聞かざる」の心構えを保つことです。この考え方は、米相場の神様と呼ばれた本間宗久が遺した「三猿金銭録」に由来するとされています。本間宗久が伝えた数々の金言の中でも、この教えは特に、「他人の意見に惑わされず、自ら考え判断する」ことの大切さを説いています。

日光東照宮の有名な三猿の彫刻は、「悪いものを見ず、聞かず、言わず」の象徴として知られています。本来、子どもに対して良くない影響を避け、成長に集中するよう促す教えでした。しかし、現代では情報があふれる中で、この教えを守ることが一層難しくなっています。特に相場の世界では、情報の取捨選択が投資成否を大きく左右します。

かつての証券会社の店頭は、相場や銘柄について賑やかな議論が交わされる場でした。投資家たちはこうした話題を楽しみに通い、時に参考にしましたが、最終的な判断は自らの手で行うことが求められました。「見ざる・言わざる・聞かざる」の精神で、他人の意見に振り回されず、自分の信念を持つことが大切だという教えです。

現在はネット取引が主流となり、店頭もすっかり様変わりしました。情報の多くはインターネット経由で目から入ってくる時代です。その一方で、不確定な情報が増え、見極める力が求められています。特に今の投資家には、「見ざる」、すなわち、不必要な情報を遮断する姿勢がますます重要です。

また、経営者にとっても、この教えは示唆に富んでいます。情報交流や勉強会が活発な現代では、多くの情報が手に入る一方、自社の実力を見失い、勢いに流されるリスクもあります。最終的には、経営者こそ孤独に自らの判断を下す必要があり、「見ざる・言わざる・聞かざる」の心構えが肝心です。

結局のところ、相場や経営において本質を見極め、他人に左右されず自分の信念を貫く。このことこそが、成功への鍵と言えるでしょう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■ガソリン・軽油の暫定税率廃止法成立  ガソリン暫定税率廃止法は11月28日に成立し、ガソリン税2…
  2. ■うつ・統合失調症・発達障害を脳から理解する、最前線研究を平易にまとめた一冊  翔泳社は11月25…
  3. 【新築マンションの短期売買を分析】  国土交通省は11月25日、三大都市圏および地方四市の新築マン…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■「大きく産んで小さく育てる」IPO市場、期待裏切る後半戦  48勝2分10敗である。2025年の…
  2. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  3. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  4. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  5. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  6. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る