JSPは25年3月期3Q累計減益、通期売上高・営業利益・純利益予想を下方修正、指標面の割安感も評価材料

 JSP<7942>(東証プライム)は1月31日に25年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。製品価格改定効果も寄与して増収だが、需要回復が想定を下回り、人件費増加なども影響して減益だった。そして通期の売上高・営業利益・純利益予想を小幅に下方修正した。需要回復遅れにより売上高が想定を下回る見込みだ。経常利益については為替差益や受取利息の増加により前回予想を据え置いた。26年3月期の需要回復を期待したい。株価は戻り高値圏から反落して上げ一服の形となったが切り返しの動きを強めている。目先的には下方修正を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、下値限定的だろう。

■25年3月期3Q累計減益、通期売上高・営業利益・純利益予想を下方修正

 25年3月期第3四半期累計(24年4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比5.7%増の1082億90百万円、営業利益が10.7%減の57億39百万円、経常利益が5.9%減の64億50百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が8.9%減の49億06百万円だった。

 製品価格改定効果も寄与して増収だが、需要回復が想定を下回り、人件費増加なども影響して減益だった。なお営業外では為替差損益が1億67百万円改善(前期は為替差損66百万円、当期は為替差益1億01百万円)した。

 押出事業(その他に区分していた子会社分を当期より押出事業に変更、前期も変更後に組替)は売上高が2.4%増の374億47百万円、営業利益(全社費用等調整前)が23.6%減の15億30百万円だった。生活資材製品の食品トレー向けが順調だったが、産業資材製品における高付加価値製品の販売減少、建築土木資材製品における土木分野向けの減少などで減益だった。

 ビーズ事業は売上高が7.5%増の708億42百万円、営業利益が4.3%減の50億48百万円だった。発泡ポリプロピレン「ARPRO」を中心とする高機能材製品の自動車分野向けが減少し、人件費高騰なども影響して減益だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が344億96百万円で営業利益が12億92百万円、第2四半期は368億92百万円で営業利益が19億12百万円、第3四半期は売上高が369億02百万円で営業利益が25億35百万円だった。

 通期連結業績予想は1月31日付で売上高・営業利益・純利益予想を下方修正し、売上高が24年3月期比5.1%増の1420億円、営業利益が12.7%減の66億円、経常利益が9.0%減の74億円、親会社株主帰属当期純利益が18.6%減の52億円としている。配当予想については据え置いて、24年3月期比15円増配の80円(第2四半期末40円、期末40円)としている。連続大幅増配で予想配当性向は40.3%となる。

 前回予想に対して売上高を40億円、営業利益を4億円、親会社株主帰属当期純利益を1億円、それぞれ下方修正した。需要回復遅れにより売上高が想定を下回る見込みだ。経常利益については為替差益や受取利息の増加により前回予想を据え置いた。26年3月期の需要回復を期待したい。

■株価は下値限定的

 株価は戻り高値圏から反落して上げ一服の形となったが切り返しの動きを強めている。目先的には下方修正を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、下値限定的だろう。1月31日の終値は2141円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS198円42銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の80円で算出)は約3.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3635円60銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約673億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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