【マーケットセンサー】「トランプ・リスク」と日米市場の行方

■植田総裁とトランプ大統領、市場のカギを握る二人

 日米市場の先行きを左右するのは、日本銀行の植田和男総裁と、米国のドナルド・トランプ大統領の判断次第といえる。しかし、問題はそのトランプ大統領が、自らをナポレオンになぞらえ「トランプ・リスク」を次々と生み出し、増幅させている点にある。

 仮に植田総裁がこの「トランプ・リスク」に挑んだとしても、市場の混乱を収めることができるかは不透明だ。日本の兜町が連休中だった2月24日にオープンした米国市場では、NYダウが3営業日ぶりに反発したものの、上昇幅はわずか33ドル19セントと限定的。トランプ大統領が延期していたカナダ、メキシコへの追加関税を来月実施すると報じられたことが、市場の重しとなった。

■投資戦略、頼るべきは「自助努力」の企業

 「トランプ・リスク」が吹き荒れるマーケット環境のもと、投資家は「売る」「買う」「休む」の選択に悩まされる状況が続いている。こうした中で頼りになるのは、英国のことわざ「天は自ら助くる者を助く」に倣い、自助努力を続ける企業に注目することだ。

 つまり、市場全体が不安定であっても、独自の成長戦略を持ち、着実に成果を上げている企業に投資するのが有効な手段となる。「総論売り、各論買い」の姿勢で、堅実な銘柄選びをすることが求められる。

■企業業績の発表シーズンも一巡

 また、3月期決算企業の2024年9月~12月期(第3四半期、3Q)の業績発表も、2月14日にピークを迎えてから1週間が経過した。この結果を踏まえ、市場では好決算銘柄に資金が集まる動きもみられる。

 「相場の神様」も、努力を惜しまない企業には微笑むものだ。トランプ大統領の発言一つで市場が揺れる中、投資家としては目先のニュースに振り回されるのではなく、長期的な視点で企業の成長力を見極めることが重要になるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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