
■設備投資意欲に陰り、2年連続の低下傾向
帝国データバンクが全国2万6,590社を対象に実施した設備投資に関する調査によると、2025年度に設備投資計画がある企業の割合は57.4%となり、前年比1.3ポイント減少した。2年連続で低下しており、企業の投資意欲に陰りが見えている。設備投資を予定していない企業は34.4%に達し、前年から1.3ポイント上昇した。設備投資を予定する企業の平均投資額は1億2,429万円で、前年から276万円減少した。企業規模別では大企業が70.6%と7割台を維持したが、中小企業は55.0%、小規模企業は44.6%となっており、規模が小さくなるほど投資に慎重な姿勢が鮮明になっている。
■設備代替が主流、デジタル投資は大企業中心
設備投資の内容では「設備の代替」が60.8%と突出し、調査開始以来初めて60%を上回った。次いで「既存設備の維持・補修」が30.7%、「省力化・合理化」が25.8%で続いた。DXや情報化関連を含むデジタル投資を検討している企業は32.8%に上り、特に大企業では48.1%と半数近くがデジタル投資を計画している。中小企業の29.4%を18.7ポイント上回っており、人材不足への対応として勤怠管理や業務日報のデジタル化を進める企業が増えている。
■資金調達は自己資金が主流、補助金活用は限定的
資金調達方法では「自己資金」が57.6%で最も高く、金融機関からの借り入れは29.0%と3割を切った。補助金・助成金の活用は5.5%にとどまったが、小規模企業では8.5%と規模の小さな企業での活用が目立った。しかし企業からは「補助率が低下していて、自己資金の負担が大きいため、どうしても消極的にならざるを得ない」との声が寄せられており、制度の充実を求める声が少なくない。
■先行き不安とコスト高が投資の足かせ
設備投資を行わない理由として「先行きが見通せない」が47.9%でトップとなり、前年から3.8ポイント上昇した。特に中小企業では大企業より15.7ポイント高く、先行きへの不安が強い。原材料価格の高止まりや設備投資コストの上昇、金利上昇傾向への懸念も多く寄せられた。さらに「トランプ関税」への懸念も表面化しており、「米国の関税問題が解決しなければ、計画ができない」といったコメントが複数あがった。設備投資を取り巻く環境が良好とはいえない状況が続く中、国による支援策・促進策の強化が求められている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)