【どう見るこの株】弘電社は業績再上方修正、再増配を見直して内需系バリュー株買いが再燃

 弘電社<1948>(東証スタンダード)は、前日17日に69円高の2069円と反発して引け、今年2月4日につけた株式分割の権利落ち後高値2348円を再び意識する動きを強めた。同社株は、今年1月31日に今2025年3月期業績の2回目の上方修正、同3月13日には今期配当の2回目の増配と自己株式立会外買付取引をそれぞれ発表しており、これを見直して内需系のバリュー株買いが再燃した。テクニカル的にもこの3週間、2000円台を出没して下値を確認してきたが、煮詰まり感を強めているとして上放れ期待を高めている。

■高水準な手持工事を着実に遂行しコスト増加も適正価格に反映

 同社の今3月期業績は、第1四半期(2024年3月~6月期、1Q)決算発表の昨年7月と、第3四半期(2024年4月~12月期、3Q)決算発表の今年1月に合計2回上方修正された。2回目の上方修正では、昨年7月の増額値より売り上げを9億円、営業利益を8億6000万円、経常利益を8億1000万円、純利益を5億円それぞれ引き上げ、売り上げ395億円(前期比10.7%増)、営業利益26億円(同2.24倍)、経常利益26億6000万円(同2.05倍)、純利益18億9000万円(同2.21倍)と大幅続伸を見込み、純利益は、2019年3月期の過去最高(19億6100万円)に接近する。今期3Qの電気設備工事の受注高が、255億円(前年同期比14.1%増)、手持電気設備工事(次期繰越工事)も379億7400万円(同68.1%増)と伸び、高水準な手持工事を着実に遂行し、資機材価格高騰のコスト増は、価格に適正に反映させたことなどが要因となった。

 配当は、期初に未定としていたが、9月17日の今期業績の一回目の上方修正時に今期第2四半期(2024年4月~9月期、2Q)の配当、期末配当とも33円の年間66円とし、昨年3月31日を基準日とした株式分割(1株を5株)の権利を落とす前の前期年間配当270円から実質60円の増配となった。今年3月13日には、これをさらに84円に引き上げ、実質で150円の連続大幅増配を予定している。なお自己株式立会外買付取引では、3月14日に買付価格2015円で11万7000株(発行済み株式総数の1.32%)を2億3575万円で取得した。

■分割権利落ち後安値から倍化もPER9倍、PBR0.8倍となお割安

 株価は、株式分割の権利取りで上場来高値7000円まで急騰し、6970円で分割権利を落とした。その後、昨年8月の全般相場急落の波及で売られた権利落ち後安値1000円から今期業績の上方修正・増配などを歓迎して右肩上がりで上昇し、2回目の業績上方修正では権利落ち後高値2348円まで買い進まれ分割権利落ち後安値から2.3倍化した。3月の再増配では全般相場の不透明化も重なり目先の利益を確定する売り物も出て高値もみ合いを続けてきたが、PERは9.6倍、PBRは0.89倍、年間配当利回りは4.0%と割安である。割安修正に再発進し分割権利落ち後高値奪回で弾みをつけ上値チャレンジを強めよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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