【どう見るこの相場】「彼岸底」は幻か?物価高が導く新潮流、不動産・銀行株に活路を見出す

■新年度相場のサブテーマは「物価」?!

 米国のトランプ大統領は、「壊し屋」と奉る以外にない。その性情は、「治にいて乱を好む」かの如くで、いろいろアノ手コノ手と挑発してくれる。「相互関税」発動で敢えて対象国の報復関税を呼び込んで貿易戦争を仕掛け、世界経済へのファイティングポーズを崩そうとしない。肝心の東京市場にとっても「壊し屋」そのもので、ほぼ市場合意となっていた天底形成アノマリーの兜町流の「節分天井 彼岸底」、北浜流の「戎天井 彼岸底」が風前の灯となっているのである。

 日経平均株価は、今年1月の年初来高値4万288円を天井に、3月の年初来安値3万5987円まで調整して「彼岸底」を形成し、トランプ大統領が、追加関税の対象国、対象品目を絞り込む寛大さ」を示唆したことから、一時は3万8220円までリバウンドして天底調整幅の半値戻しをクリアして、4月の新年度相場への期待を高めていた。

■株価下落の中でも昨年来高値更新の銘柄に注目集まる

 それが、日本時間の4月3日午後1時1分に発動される輸入自動車に対する25%の追加関税である。日経平均株価は、前週末2日間で906円安と急落し、28日の取引時間中には3万7000円台を割り、3月安値まであと約900円のアローアンスしか残されなくなった。25%の追加関税は、日本の自動車産業にとって最大13兆円の悪影響が出ると観測されたから当然のリスク回避売りである。と同時に、このままいけば「彼岸底」が、「彼岸底割れ」となる懸念も強まることとなった。

 「彼岸底」か「彼岸底割れ」かは、トランプ大統領の胸の内、舌先三寸、指タッチに掛かっていてなお不透明感が強い。しかし、目の前の前週末28日に日経平均株価は、679円安と続急落し、全市場で全体の77%超の3186銘柄が値下がりしたのも厳然たる事実である。ただその一方でそうしたアゲインストな相場環境下でも全市場でわずか1・6%だが、69銘柄が昨年来高値を更新したのも事実である。この逆行高は、あるいはトランプ・リスクへの耐性銘柄、あるいは4月からの新年度相場の方向を探るうえで重要なヒントになるとしたら注目は怠れない。

■逆行高の69銘柄に見る新年度相場の方向性

 この69銘柄は、まず内需系・ディフェンシブ系の小型株であることで共通している。また前日27日に配当権利を落とした3月期決算会社は、半分以下の25銘柄にとどまり、配当権利落ちを敬遠する銘柄選別にもそれなりの神経を使ったことを窺わせた。さらに業種的・セグメント的には不動産関連、銀行株のウエートが相対的に高い特徴も目についた。どうもこの辺りにトランプ・リスク耐性銘柄や新年度相場を方向性を示唆するヒントが隠れていそうなのである。

 というのも、石破茂首相は、新年度予算が成立したあと会期末の6月22日への終盤国会では物価問題にさらに経済対策を発動することを明らかにしている。7月の参議院選挙を意識した政策発動であることは間違いなく、焦眉の急は備蓄米を放出したコメ価格の沈静化だろう。しかし、コメ以外にも価格が上昇中の品目は多く、その一角に位置するのが地価である。また「物価の番人」の日本銀行も、物価上昇が続くようなら政策金利の引き上げに動くことになり、カネの価値の金利が上昇する。新年度相場の相場のワールドワイドなメーンテーマは、もちろん「トランプ関税」、「トランプ・ディール(取引)」である。その一方で、東京市場のサブテーマとして「物価」が浮上する前触れとも想定される。

■物価上昇で銀行株に買い、不動産株も高値更新

 このことは、不動産株が3月18日に発表された2025年公示地価(全国平均)がトリガー(引き金)となったことからも明らかで、同地価は、前年比で2.7%上昇し、バブル経済崩壊後の1992年以来最高となった。この地価上昇は、海外投資家や富裕層の投資マネーが、海外に比べて割安な日本の不動産物件に買い向かっていることが要因と分析され、バブル地価の再燃にはまだ至っていないようだ。金利上昇がマイナスに働く第一次住宅取得者をターゲットとしているハウスビルダーなどとやや事業環境が異なるということだろう。

 一方、銀行株は、前週末28日の寄り付き前に発表された3月の東京都区部消費者物価指数が、前年比2.4%上昇し市場予想(2.2%)を上回るとともに、日本銀行が物価目標としている2%を5カ月連続でオーバーし、日銀による政策金利引き上げを先取りして国内長期金利が上昇し、利ザヤ・資金利益拡大要因として買い材料となった。

 28日の不動産株・銀行株の昨年来高値更新銘柄は、合計18銘柄と全体の4分の1を占めた。18銘柄は昨年来高値まで買い進まれていても、なおいずれも低PER、高配当利回りで、銀行株に至ってはPBR1倍割れ銘柄のオンパレードである。新年度相場のサブテーマ株、「壊し屋トランプ」対抗の耐性投資株として不動産株・銀行株へなおトライするのも一考余地がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■オーダーメイド開発と人材リスキリングで業務変革を伴走支援  ベルシステム24ホールディングス<6…
  2. ■調査件数拡大と効率化で追徴税額1431億円  国税庁は12月、令和6事務年度における所得税および…
  3. ■企業の6.5%がクマ出没による業務影響と回答、宿泊業で4割に迫る  東京商工リサーチ(TSR)は…
2026年2月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
232425262728  

ピックアップ記事

  1. ■地方銀行:収益改善、昨年11月の業績上方修正が寄与  昨年来高値更新銘柄の1割超を占める銀行株は…
  2. ■超短期決戦の総選挙で市場動向が政治判断に影響  いよいよ衆議院議員選挙だ。みょう27日に公示され…
  3. ■AI以外に目を向けよ、割安株に潜む上昇機会  1980年代のバブル相場では、産業構造改革で「軽薄…
  4. ■利上げと解散総選挙、日本経済の分岐点迫る  今週は、運命の1月22日、23日が控えている。1月2…
  5. ■上場来高値更新の金先物、産金・再資源化・再販株に資金集結  当コラムでは昨年来、何度も金関連株を…
  6. ■地政学リスクの影が迫る市場、ヘッジ先は金関連株にあり  しばしばニュースで報じられる高齢ドライバ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る