ダイキンと日立、生成AI活用の設備故障診断エージェントを共同開発

■精度90%以上、グローバル展開で技術伝承と品質確保を実現

 ダイキン工業<6367>(東証プライム)と日立製作所<6501>(東証プライム)は4月22日、工場の設備故障診断を支援するAIエージェントの実用化に向けた試験運用を2025年4月から開始したと発表。このAIエージェントは、両社が培ってきたOTナレッジと日立の先進的なIT技術を融合させたもので、保全技術者が設備故障を発見した際に、その原因と対策を10秒以内に90%以上の精度で提示する。ダイキンの設備図面をナレッジグラフとして変換し、保全記録などのOTデータと日立独自の設備故障原因分析プロセスを生成AIに学習させることで、熟練技術者と同等以上の診断能力を実現した。

 両社は2025年9月までに試験運用を完了し、その後国内外のダイキン生産拠点への展開を予定している。これにより、設備保全の暗黙知を組織の知として共有し、グローバルでの品質確保や技術伝承、フロントラインワーカーの生産性向上を目指す。日立はこの技術をLumadaソリューションとして製造業全般に展開するとともに、設備保全以外の分野でもOTナレッジとITを融合したアプリケーションを提供していく計画だ。

 この協創は、製造業における生産年齢人口の減少や熟練技術者不足、生産拠点のグローバル化に伴う課題解決を目的としている。特にダイキンは世界28カ国90カ所以上の生産拠点を持ち、海外工場における保全技術者の確保や高度な技術者育成が課題となっていた。両社はこれまでにも、ろう付け作業のデジタル化やフッ素化学品の反応プロセスのデジタル化など、次世代生産モデルの確立に向けた協創に取り組んでおり、今回の取り組みは「進化し続ける”止まらない工場”」の実現に向けた新たな一歩となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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