科研製薬の前3月期・連結決算は知財譲渡やライセンス供与一時金など加わり営業利益など2倍超に

(決算速報)

■今期は一時金の反動で減益予想だが営業利益は75%減程度を見込む

 科研製薬<4521>(東証プライム)の2025年3月期・連結決算は、競合品の終売にともなう関節機能改善剤「アルツ」が伸長伸長したことなどに加え、ジョンソン・エンド・ジョンソン社などへの知的財産譲渡及び販売提携オプション契約による総額8600万米ドルの契約一時金や、「STAT6阻害」に関する3000万米ドルのライセンス契約一時金などが加わり、売上高は前年同期比30.5%増の940億35百万円となり、営業利益は約2.2倍の210億34百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比73.8%増の139億45百万円となった。

 知的財産の譲渡及び販売提携オプション契約については、契約一時金にとどまらず、「今後のJ&J社の日本及びアジアでの開発の進捗及び売上の目標達成に応じたマイルストン収入、ならびにアジアでの売上に応じたロイヤリティ収入を受け取る権利を取得」(決算短信より)した。また、ライセンス契約についても、契約一時金を受領するとともに、今後の開発の進捗及び売上の目標達成に応じたマイルストン収入、加えて全世界での売上に対しロイヤリティを受け取る権利を有しているとした。

 また、製品ポートフォリオの拡充として、新規創傷治療材料「シルクエラスチン創傷用シート」の日本国内における独占的販売権に関するライセンス契約を三洋化成工業<4471>(東証プライム)と締結した。科研製薬が強みとする形成外科、皮膚科等の診療領域において、患者さんに新たな治療選択肢を提供することをめざす。爪白癬治療剤「Jublia」(日本販売名:クレナフィン)については、欧州の導出先であるアルミラル社がイタリア医薬品庁より製造販売承認を取得した。アルミラル社は、イタリアの他、ドイツにおいても製造販売承認の申請を行っている。

 今期・26年3月期の連結業績見通しは、売上高は、連結子会社アーディ社の「FYARRO」の売上が加わるものの、25年3月期に計上した知的財産譲渡やライセンス契約に係る一時金収入の反動や、「クレナフィン」の特許期間満了の影響などにより、売上高は880億円(前期比6.4%減)、営業利益は52億円(同75.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は34億円(同75.6%減)を見込んでいる。(HC)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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