ヒーハイスト、26年3月期は2桁増収・黒字転換で増配予想、直動機器のスマート生産を実践し生産増強と販売拡大へ

 ヒーハイスト<6433>(東証スタンダード)は小径リニアボールブッシュの世界トップメーカーである。工作機械や半導体製造装置等に使用される直動機器を主力として、精密部品加工やユニット製品も展開している。成長戦略としては自動化関連の需要増加に対応するため、直動機器の「スマート生産プロジェクト」の一環とする設備投資や開発投資を推進している。26年3月期は2桁増収・黒字転換で増配予想としている。直動機器のスマート生産を実践して生産増強および販売拡大を図る方針だ。中長期的には直動機器の需要拡大が予想され、積極的な事業展開で収益回復基調を期待したい。株価は戻り一服の形だが、1倍割れの低PBRも支援材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■小径リニアボールブッシュの世界トップメーカー

 小径リニアボールブッシュの世界トップメーカーである。リニアボールブッシュは機械装置の稼働部に用いられる部品で、金属と金属の接触面を鋼球が転がりながら移動することで摩擦による影響を低減し、機械装置の寿命を延ばす役割を担っている。独自の球面加工技術や鏡面加工技術をコア技術として、工作機械や半導体製造装置等に使用されるリニアボールブッシュや球面軸受けなどの直動機器、レース用部品や試作部品の受託加工などの精密部品加工、液晶製造装置向けなどのユニット製品を展開している。成長戦略としては自動化関連の需要増加に対応するため、直動機器の「スマート生産プロジェクト」の一環とする設備投資や開発投資を推進している。

 25年3月期の部門別売上高は直動機器が13億65百万円、精密部品加工が6億80百万円、ユニット製品が1億98百万円だった。主要販売先はTHK<6481>および本田技研工業<7267>である。収益面では産業機械・電子部品・自動車関連の設備投資動向の影響を受けやすく、設備投資関連のため四半期業績が変動しやすい特性もある。

■生産能力向上と採算性向上を推進

 経営ビジョンには「リニアブッシュ・アジアNO.1」を掲げ、成長に向けた基本戦略としては、フランジ増産および拡販によるシェア拡大を目指し、直動機器の「スマート生産プロジェクト」の一環とする設備投資や開発投資を推進している。株主還元については27年3月期までに配当性向20~30%に強化する方針としている。また25年3月末より株主優待制度を新設した。

 事業別成長戦略としては、直動機器についてはスマート生産プロジェクトによる安定生産・原価低減、市場シェアの低い形番の生産増強によるシェア拡大、新製品(LMHB)の原価低減と販売数増加、システム化による納期対応強化、設備投資ピークアウト・減価償却費減少やコスト削減による利益率向上などを推進する。精密部品加工についてはホンダグループのモータースポーツ参戦のレース用部品供給継続によって収益を確保する。ユニット製品については仕様標準化による設計効率化、新製品NAF HWシリーズの拡販・ラインナップ拡充、海外市場への展開などを推進する。25年3月にはマレーシア市場の開拓、ステージのメカニカルおよび電気制御の技術的な相互補完を目的として、マレーシアのMIRAI社とパートナーシップ契約を締結した。

 24年4月には人的資本経営の一環および株式市場での流動性向上を図ることを目的として、社員持株会の奨励金付与率を現行の5%から50%に引き上げた。24年6月にはヒーハイストCSR活動方針を策定した。24年8月には埼玉県の多様な働き方実践企業におけるプラチナランクの認証を受けた。24年11月には埼玉県SDGsパートナーとして登録された。25年1月には秋田県SDGsパートナーとして登録された。

■スタンダード市場の上場維持基準に適合

 なお、23年3月末時点において流通株式時価総額がスタンダード市場の上場維持基準に適合しない状況となったため、23年6月27日付で上場維持基準適合に向けた計画書を作成・開示し、各種取組を推進した結果、25年3月31日時点でスタンダード市場の全ての上場維持基準に適合した。今後も上場維持基準の適合を維持するため、中期経営計画の着実な実行により企業価値向上に努めるとしている。

■25年3月期減収・赤字、26年3月期2桁増収・黒字転換で増配予想

 25年3月期の連結業績は売上高が前期比2.8%減の22億45百万円、営業利益が1億21百万円の損失(前期は1億58百万円の損失)、経常利益が1億89百万円の損失(同1億56百万円の損失)、親会社株主帰属当期純利益が2億03百万円の損失(同2億21百万円の損失)だった。配当は前期と同額の1円(期末一括)とした。

 主力の直動機器の需要回復遅れで減収となり、利益面は原材料価格の高騰、固定費の増加、棚卸資産評価損の計上などで赤字だった。親会社株主帰属当期純利益については繰延税金資産の減少も影響した。部門別売上高は、直動機器が需要回復遅れや中国市場からの受注停滞の影響で14.2%減の13億65百万円、精密部品加工がレース用部品の増加で28.5%増の6億80百万円、ユニット製品が半導体製造装置向けのステージ製品や中国の医療用分析装置等向けの球面軸受の増加で5.2%増の1億98百万円だった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が5億20百万円で営業利益が54百万円の損失、第2四半期は売上高が5億56百万円で営業利益が20百万円の損失、第3四半期は売上高が6億49百万円で営業利益が24百万円、第4四半期は売上高が5億20百万円で営業利益が71百万円の損失だった。

 26年3月期連結業績予想は売上高が前期比10.8%増の24億86百万円、営業利益が68百万円(前期は1億21百万円の損失)、経常利益が57百万円(同1億89百万円の損失)、親会社株主帰属当期純利益が34百万円(同2億03百万円の損失)としている。配当予想は前期比1円増配の2円(期末一括)としている。予想配当性向は36.3%となる。

 強化した生産設備の生産能力を生かした直動機器のスマート生産を実践し、生産増強および販売拡大を図る方針だ。また利益率が低い型番のスクラップ・アンド・ビルドも推進する。中長期的には直動機器の需要拡大が予想され、積極的な事業展開で収益回復基調を期待したい。

■株主優待制度は毎年3月末対象、25年3月末より実施

 株主優待制度については毎年3月末日時点で1単元(100株)以上保有株主を対象にQUOカード3000円分を贈呈する。25年3月末より実施した。

■株価は調整一巡

 株価は戻り一服の形だが、1倍割れの低PBRも支援材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。5月21日の終値は372円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS5円51銭で算出)は約68倍、今期予想配当利回り(会社予想の2円で算出)は約0.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS451円86銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約23億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京大学発スタートアップが開発、19自由度のヒューマノイドロボット  東京大学発スタートアップH…
  2. ■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額  東京商工リサーチは6月30日、2024…
  3. ■従来の検索では見つけられなかった本との出会いを創出  富士通<6702>(東証プライム)傘下の富…
2025年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■メガバンク株は業績修正や自己株取得が焦点、再編思惑も視野  銀行株やコメ関連株は盆休み明けの注目…
  2. ■日経平均史上最高値更新、夏枯れ懸念を払拭  前週末15日のマーケットは、お盆を象徴するかのように…
  3. 【ダブルセット・フルセット銘柄、夏休み明けも底堅さに期待】 ■上方修正・増配・株式分割の好材料銘柄…
  4. ■上方修正・下方修正問わず買い集まる異例の展開  3連休入りした9日の成田空港では、夏休みを海外で…
  5. ■株主還元強化が市場の安心材料に  東京エレクトロン<8035>は8月1日、2025年3月期の業績…
  6. ■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける  前週31日の植田和男日銀総裁の記者会…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る