ジェイエスエス、26年3月期は大幅増益で連続増配予想、M&A効果に加え大人への訴求力強化等推進へ
- 2025/5/22 07:17
- アナリスト銘柄分析

ジェイエスエス<6074>(東証スタンダード、名証メイン)はスイミングスクールを全国展開し、スイミングスクール特化型企業では首位の施設数を誇っている。成長戦略としてM&A戦略を強化する方針を打ち出し、3年以内に売上高100億円・100店舗・時価総額50億円以上を目指すとしている。26年3月期は大幅増益で連続増配予想としている。M&A効果に加え、大人への訴求力強化等を推進する方針だ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は4月の安値圏から急反発している。低PER、高配当利回り、1倍割れの低PBRという指標面の割安感も評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。
■スイミングスクール運営首位
スイミングスクールを直営と受託で全国展開している。20年3月に日本テレビホールディングス<9404>と業務資本提携した。日本テレビホールディングスのグループ会社でフィットネスジムを展開するティップネス(スポーツ施設運営企業として業界3位規模)と協業してシナジー創出を推進している。
24年4月1日現在の事業所数は直営64ヶ所と受託21ヶ所の合計85ヶ所(うちコンパクトプールが直営13ヶ所と受託2ヶ所の合計15ヶ所)である。スイミングスクール特化型企業では首位の事業所数を誇っている。24年5月には、和歌山エリアで5事業所(スイミングスクール等)を展開するワカヤマアスレティックを子会社化した。
児童発達支援および放課後等デイサービス事業「JSS水夢」については、2事業所目として22年12月にJSS水夢北神戸(仮称、兵庫県神戸市北区、JSS北神戸スイミングスクール内)を開設した。23年1月には静岡県磐田市の福田屋内スポーツセンターおよび磐田温水プールの指定管理者(指定管理期間23年1月11日~28年3月31日)に選定された。25年4月には有田市民公共水泳場「えみくるARIDA」の指定管理者であるミズノスポーツサービスと、当該施設の共同運営に関する施設運営業務委託契約を締結した。
24年3月期の部門別売上高は、スイミングスクール収入が75億43百万円(うち直営事業収入が63億33百万円、受託事業収入が7億68百万円、企画課外収入が4億40百万円)で、商品売上が5億59百万円、その他の営業収入が28百万円だった。
24年3月期末の全事業所合計会員数は、子供会員数が23年3月期末比6.0%減の7万4154人、大人会員が2.0%減の9087人、合計が5.6%減の8万3241人だった。コース別会員数は選手・育成コースが4.8%減の4632人、ベビー・キンダーコースが13.3%増の1807人だった。
スイミングスクール事業の強みには、総合フィットネスクラブとの比較で景気に左右され難いという点がある。入会から四泳法習得まで2~3年の安定した在籍が期待され、ベビーからの入会や選手コースへの進級で長期在籍の可能性も高まる。大人会員は高齢者が中心で、生涯スポーツ化も期待される。同社の強みとしては、国内最多のスイミングスクールを展開する業界唯一の上場企業としての豊富な出店・運営ノウハウの蓄積や、数多くのオリンピック選手やメダリストを輩出している指導力などがある。
■M&A戦略を強化
成長戦略として新たにM&A戦略を強化する方針を打ち出し、目標として3年以内(28年)に売上高100億円・100店舗・時価総額50億円以上を目指すとしている。M&Aを軸として健康産業全体における領域拡大を図るとともに、地域に根差した青少年の健全育成やスポーツ振興を加速し、事業拡大・収益性確保の実現を目指す方針だ。
なお22年4月の東京証券取引所の市場再編ではスタンダード市場を選択し、スタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。中期経営計画で掲げた経営戦略および重点施策を着実に実施することで、業績の向上および企業価値の向上(時価総額の増大)を図り、スタンダード市場の上場維持基準を充たすよう各種取組を進めるとしている。また25年2月27日付で名証メイン市場へ上場し、東証スタンダード市場との重複上場となった。
■26年3月期大幅増益・連続増配予想
25年3月期の連結業績(ワカヤマアスレティックスを子会社化して連結決算に移行、3月13日付で下方修正)は売上高が83億81百万円、営業利益が2億52百万円、経常利益が2億53百万円、親会社株主帰属当期純利益が1億92百万円だった。配当(1月16日付で配当政策変更を発表、累進配当導入と25年3月期配当予想上方修正)は前期比3円増配の17円50銭(第2四半期末7円50銭、期末10円)とした。配当性向は35.3%となる。
25年3月期より連結決算に移行したため前期の非連結業績(売上高81億31百万円、営業利益3億89百万円、経常利益4億06百万円、当期純利益2億18百万円)との比較で見ると、売上高はM&Aも寄与して増収だが、各利益は減益だった。期末時点のグループ会員数は前期末比1.4%増の8万4374人となった。
なお全社ベースの業績を四半期別に見ると第1四半期は売上高19億56百万円で営業利益43百万円、第2四半期は売上高22億52百万円で営業利益1億66百万円、第3四半期は売上高21億83百万円で営業利益80百万円、第4四半期は売上高19億90百万円で営業利益37百万円の損失だった。
26年3月期の連結業績予想は売上高が前期比9.7%増の91億92百万円、営業利益が120.8%増の5億56百万円、経常利益が115.8%増の5億46百万円、親会社株主帰属当期純利益が84.8%増の3億55百万円)としている。配当予想は前期比2円50銭増配の20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。連続増配で予想配当性向は21.8%となる。
26年3月期は大幅増益で連続増配予想としている。M&A効果に加え、大人への訴求力強化等を推進する方針だ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。
■株価は戻り試す
株価は4月の安値圏から急反発している。週足チャートで見ると抵抗線となっていた26週移動平均線を突破した。低PER、高配当利回り、1倍割れの低PBRという指標面の割安感も評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。5月21日の終値は449円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS91円68銭で算出)は約5倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約4.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS775円50銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約18億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)