ソフトクリエイトホールディングス、26年3月期も増収増益で6期連続増配予想、EC・ITソリューション事業が順調に拡大

 ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東証プライム)はECソリューション事業とITソリューション事業を展開し、成長戦略としてクラウドサービス拡大を推進している。25年3月期は計画を上回る増収増益で着地した。そして26年3月期も増収増益で配当は6期連続増配予想としている。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に拡大し、人件費等の増加を吸収する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響を受けた4月の安値圏から反発して戻り歩調だ。上値を試す展開を期待したい。

■ECソリューション事業およびITソリューション事業を展開

 ECソリューション事業およびITソリューション事業を展開する持株会社で、成長戦略としてクラウドサービス拡大を推進している。連結子会社はecbeing、ソフトクリエイト、エイトレッド<3969>、エートゥジェイ、visumo<303A>などである。24年4月にはソフトウェア受託開発を主力とするシステムワークスジャパンを連結子会社化、25年4月にはソフトウェア品質検証事業を展開するクオリティ・アイを連結子会社化した。

 25年3月期のセグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)は、ECソリューション事業が166億21百万円、ITソリューション事業が143億30百万円、経常利益(全社費用等調整前)はECソリューション事業が40億72百万円、ITソリューション事業が29億297百万円、経常利益の調整額が▲13億06百万円だった。

 売上高の内訳は、ECソリューション事業のECサイト構築が110.2億円、デジタルマーケティングが34.6億円、ECクラウドサービスが21.3億円、ITソリューション事業のセキュリティ・インフラ構築が65.4億円、ITパッケージが22.3億円、ITクラウドサービスが28.7億円、IT機器が26.6億円だった。各分野とも増収基調となっている。

■ECソリューション事業はECサイト構築「ecbeing」が主力

 ECソリューション事業は、ecbeingのECサイト構築パッケージecbeingの販売・保守・ホスティングサービスを主力に、全農ECソリューションズの全国農業協同組合連合会のECサイト運用業務、visumo<303A>のビジュアルマーケティングプラットフォーム開発・運営、Revicoのレビュー閲覧・投稿サービスRevico運営、エートゥジェイのコンテンツマーケティング事業なども展開している。

 ECサイト構築パッケージecbeingは、ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることを強みとして、中~大規模顧客向けを中心に、国内ECサイト累計構築実績が22年度末時点に1600サイトを突破した。EC構築ソリューション市場における同社の市場シェアは16年連続1位(富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2024年版」ECサイト構築(カスタマイズ型/SaaS)市場占有率、2023年度実績)である。また23年のecbeing年間流通総額は1兆2405億円を突破した。

 22年2月にはecbeingが海外市場向けマーケティング事業・越境EC支援事業を展開するクロスシーの第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。23年7月にはecbeingがMicrosoftのAzure OpenAI Serviceを活用し、ChatGPTを組み込んだAIチャットボットシステムのAIデジタルスタッフをリリースした。24年6月にはecbeingが、ECサイトと会員情報を一元化できる予約管理システムRESOMOをリリースした。

■ITソリューション事業はSIやワークフローシステムが主力

 ITソリューション事業はソフトクリエイトの自社開発SCクラウド、不正アクセス端末検知・遮断システムL2Blocker、システムインテグレーションやIT機器販売、エイトレッド<3969>のワークフローシステム(パッケージ型AgileWorks、クラウド型X-point Cloud)を主力としている。

 24年2月にはソフトクリエイトが企業向け生成AIサービスSafe AI Gatewayをリリースした。24年5月にはソフトクリエイトが生成AI型チャットボットSafe AI Botをリリースした。Safe AI Gatewayのチャットボット機能から派生した商品である。24年6月にはソフトクリエイトが経済産業省の「DX認定事業者」として認定を取得した。

 エイトレッドのワークフローシステムのシリーズ累計導入社数は累計4500社を突破している。そしてクラウド型X-point Cloudは、複数の市場調査レポートでワークフロー市場における出荷金額・売上金額実績シェア1位を獲得している。24年3月にはAgileWorksクラウド版の販売を開始した。

■26年3月期も増収増益で6期連続増配予想

 25年3月期の連結業績は、売上高が前期比10.9%増の309億51百万円、営業利益が6.4%増の54億97百万円、経常利益が7.6%増の57億64百万円、親会社株主帰属当期純利益が8.9%増の35億47百万円だった。配当は前期比7円増配の55円(第2四半期末27円50銭、期末27円50銭)とした。5期連続増配で配当性向は38.7%となる。

 計画(24年5月9日付の期初計画値、売上高300億円、営業利益54億80百万円、経常利益56億80百万円、親会社株主帰属当期純利益34億50百万円)を上回る増収増益で着地した。前期の一過性のサイト運用収益の反動があったものの、ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に拡大し、人的資本投資によるコスト増加などを吸収した。経常利益4.1億円増の増減要因分析は、売上総利益増加で9.4億円増、人件費増加で3.0億円減、採用費・研修費増加で0.4億円減、家賃・消耗品増加で1.6億円減、その他経費増加で0.3億円減としている。

 ECソリューション事業は、売上高が6.9%増の166億21百万円、経常利益(全社費用等調整前)が5.7%増の29億97百万円だった。主力のECサイト構築売上高が順調に拡大し、ECサイト売上拡大施策となるクラウドサービス売上高も伸長した。売上高の内訳はECサイト構築が6.1%増の110.2億円、デジタルマーケティングが0.6%減の34.6億円、ECクラウドサービスが27.9%増の21.3億円だった。

 ITソリューション事業は、売上高が15.9%増の143億30百万円、経常利益が5.7%増の29億97百万円だった。クラウドサービスやセキュリティ・インフラ構築が順調に拡大した。売上高の内訳はセキュリティ・インフラ構築が8.7%増の65.4億円、ITパッケージが24.2%増の22.3億円、ITクラウドサービスが25.6%増の28.7億円、IT機器が18.4%増の26.6億円だった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が70億99百万円で経常利益が12億25百万円、第2四半期は売上高が80億72百万円で経常利益が15億31百万円、第3四半期は売上高が74億83百万円で経常利益が13億81百万円、第4四半期は売上高が82億97百万円で経常利益が16億27百万円だった。

 26年3月期の連結業績予想は売上高が前期比8.2%増の335億円、営業利益が9.1%増の60億円、経常利益が7.6%増の62億円、親会社株主帰属当期純利益が6.5%増の37億80百万円としている。配当予想は前期比7円増配の62円(第2四半期末31円、期末31円)としている。6期連続増配で予想配当性向は40.9%となる。

 ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に拡大し、人件費等の増加を吸収する見込みだ。売上高の計画は、ECソリューション事業が10.1%増の183億円、ITソリューション事業が6.1%増の152億円としている。経常利益4.4億円増の増減要因分析(見込み)は、売上総利益増加で11.5億円増、人件費増加で5.2億円減、研修費・採用費増加で0.4億円減、その他経費(税金等)増加で1.5億円減としている。事業環境は良好であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は3月末と9月末の年2回、長期保有優待も実施

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主(長期保有優待の基準日は毎年3月末)に対して、保有株式数および保有期間に応じてQUOカードを贈呈している。

■株価は上値試す

 株価は地合い悪化の影響を受けた4月の安値圏から反発して戻り歩調だ。上値を試す展開を期待したい。5月23日の終値は1974円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS151円74銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の62円で算出)は約3.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS836円23銭で算出)は約2.4倍、そして時価総額は約544億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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