【どう見るこの株】Hmcommは相次ぐ業務提携・連携を手掛かりに連続最高業績を見直す

■株価は煮詰まり感、25日線上放れが焦点

 Hmcomm<265A>(東証グロース)は、前日12日に12円高の752円と3営業日続伸して引け、25日移動平均線を出没する三角保ち合いに煮詰まり感を強めた。同社株は、今年4月30日には山形県企業局と業務連携、5月19日にはニーズウェル<3992>(東証プライム)と業務提携するなど相次いで成長戦略を発表しており、これを手掛かりに売られ過ぎ修正買いが増勢となった。今2025年12月期業績が、2ケタの増収増益予想で連続して過去最高を更新することも見直され、フォローの材料となっている。

■設備モニタリングアプリに衛星データも加え漏水検出プロジェクトを始動

 同社は、AI(人工知能)を活用して音声認識・言語解析をするベンチャー企業で、異常音検知AIのリーディングカンパニーに位置する。山形県企業局との連携は、AI活用の設備モニタリングアプリ「FAST-D」により送水ポンプの異常検知を開始する。石破内閣は、埼玉県八潮市の道路陥没事故に対応して老朽化インフラ対策のために「水道管の漏水検出DX(デジタルトランスフォーメーション)」の早期実現を求めたが、同社は「FAST-D」に地理空間・衛星データも加えて漏水検出プロジェクトとして始動させる。ニーズウェルとの業務提携は、ニーズウェルのデータ分析、データクレンジングの技術とHmcommの音×AIの技術を集結して共同ソリューションの創出とストックビジネスの拡大に取り組むものでAI事業の優位性を確立させる。

 一方、今2025年12月期業績は、売り上げ14億1900万円(前期比45.1%増)、営業利益1億4800万円(同17.2%増)、経常利益1億4300万円(同38.7%増)、純利益6800万円(同42.4%減)と見込み、売り上げ、営業利益、経常利益は前期に続く過去最高となる。前期計上の上場関係費用が一巡するほか、AIプロダクト事業の売り上げが、顧客単価の上昇などで7億2000万円(同22.1%増)、AIソリューション事業の売り上げが、プロジェクト数の増加などで6億9800万円(同79.8%増)と伸びることなどが寄与する。なお純利益は、前期に繰延税金資産を5300万円を計上し、今期は逆に法人税等調整額3100万円を計上する税金費用の関係で減益転換するもので期間利益には関係しない。

■25日線の三角保ち合いが煮詰まり公開価格抜けから初値奪回にチャレンジ

 株価は、昨年10月に公開価格850円で新規株式公開(IPO)され、1128円で初値をつけ上場来高値1709円まで買い進まれた。その後は、新興市場の人気離散とともに下値を探り、今年4月のトランプ関税による世界同時株安では上場来安値599円へ売られた。同安値からは売られ過ぎとして底上げし、山形県との連携で830円高値、ニーズウェルとの業務提携では849円高値と上値を伸ばして公開価格目前となり、足元では25日移動平均線を出没する三角保ち合いを続け、煮詰まり感を強めてきた。三角保ち合い上放れからまず公開価格850円を上抜き、初値奪回にチャレンジしょう。(情報提供:日本インタビュ新聞・インベストメントナビゲーター:株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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