日本エンタープライズ、26年5月期大幅増収増益予想、コンテンツサービスやキッティング支援を拡大へ
- 2025/8/14 07:47
- アナリスト銘柄分析

日本エンタープライズ<4829>(東証スタンダード)は、コンテンツサービスやビジネスサポートサービス等のクリエーション事業、およびシステム開発サービスや業務支援サービス等のソリューション事業を展開している。26年5月期は大幅増収増益予想としている。コンテンツサービスやキッティング支援などの拡大を見込んでいる。積極的な事業展開で収益回復を期待したい。株価は上値の重い形だが、一方では下値を切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。
■クリエーション事業およびソリューション事業を展開
同社はコンシューマ向けコンテンツプロバイダを起点に法人向けソリューションへと事業領域を拡大し、現在はコンテンツサービスやビジネスサポートサービス等のクリエーション事業、およびシステム開発サービスや業務支援サービス等のソリューション事業を展開している。
25年5月期のセグメント別売上高は、クリエーション事業(一般消費者向けのコンテンツサービス、法人向けのビジネスサポートサービスなど)が17億99百万円で、内訳はコンテンツサービスが10億54百万円、ビジネスサポートサービスが6億84百万円、再生可能エネルギーが60百万円、ソリューション事業(法人向けのシステム受託開発・運用など)が26億42百万円で、内訳はシステム開発サービスが19億16百万円、業務支援サービスが6億49百万円、その他サービスが76百万円だった。
■クリエーション事業は自社IPを活用したサービスを提供
クリエーション事業は、BtoCのコンテンツサービス(ゲーム・総合電子書籍等のエンターテインメント関連、ATIS交通情報や女性のリズム手帳等のライフスタイル関連などの一般消費者向けスマートフォンコンテンツサービスなど)、BtoBのビジネスサポートサービス(キッティング支援、交通情報、IP・PBXコミュニケーションシステム、10種類以上の入札方式を有する調達業務支援サービス、飲食事業者向けECサイト「いなせり」等のEC・ASPサービスなどの法人向け支援サービス)、BtoBの再生可能エネルギー(電力見える化サービス、山口県における太陽光発電など)で構成されている。
成長戦略として、自社IPを活用したサービス提供を通じて、新しいライフスタイルやビジネススタイルの創造を推進している。
24年3月には、丸紅ネットワークソリューションズおよびパルコデジタルマーケティングと開発した「AI画像解析による駐車場出庫時間表示サービス」が、イオンモール広島具中に導入された。駐車場内の状況を画像解析し、混雑時の出庫時間の分散化を促すソリューションである。24年8月には、官公庁・国公立私立大学・公共企業等に導入実績のある調達業務支援サービス「Profair」において、新たな入札方式として最低価格落札方式を導入した。提示価格を非公開とすることで過剰な競争を避け、より適正な市場価格での取引を目指す。
24年9月にはNTTドコモのスマートフォン向けサービス「スゴ得コンテンツ」において、AI英会話サービス「Speak Lab スゴ得」の提供を開始した。また広域集客型商業施設「エミテラス所沢」において、独自開発のデフォルメマップによるATIS交通情報の提供を開始した。24年10月には中京テレビ放送に対して独自開発のデフォルメマップによるATIS交通情報サービスの提供を開始した。民法で活用されるのは初となる。24年11月には琉球放送(RBC)に対してATISの提供を開始、24年12月にはトヨタ自動車東京本社に対してATISの提供を開始した。
25年1月にはラジオ沖縄に対してATISの提供を開始した。25年2月にはトヨタ自動車と、トヨタ自動車が保有するプローブ情報の利用に関するデータ利用許諾契約を締結した。これまで網羅できなかった道路情報を収集し、より実用性の高い情報の提供を目指す。25年3月にはNTTドコモのスマートフォン向けサービス「スゴ得コンテンツ」において、多彩なゲームがパックになったコンテンツ「SPゲームパックforスゴ得」の提供を開始した。
25年4月にはエネルギーマネジメントシステム(EMS)の開発に取り組む子会社の会津ラボが、会津若松市の庁舎をはじめとした複数施設へ「電力見える化システム」を提供した。25年5月にはNTTドコモへ「スゴ得コンテンツ」契約者増加の支援策を実施、NTTドコモへ「イエナカ事業」の業務支援を開始、KDDIの「Pontaパス」継続利用促進のための支援策を開始した。
■ソリューション事業はシステム開発や業務支援サービスを提供
ソリューション事業は、BtoBのシステム開発サービス(システム受託開発・保守・運用などのITソリューションサービス)、BtoBの業務支援サービス(高度人材による上流工程の常駐型支援サービス)、BtoBのその他サービス(中古端末買い取り販売サービス、ガラスコーティング剤販売など)で構成されている。クリエーション事業で培ったノウハウを活かし、ITソリューションを通じて顧客ビジネスに新しい価値を提供する。
24年10月には企業の調達業務を支援する新たなオープン型サービス「日本オープンマーケット」の提供を開始した。25年6月には、高度人材に特化した業務支援サービスを展開する子会社のダイブが、NTTドコモにおいて金融システムリスク管理業務の支援を開始し、金融領域の業務支援サービスを開始した。25年8月には、システム開発等を展開する子会社のフォー・クオリアが、業務系システム開発等を展開する渚を子会社化(同社の孫会社化)した。
■26年5月期大幅増収増益予想
25年5月期の連結業績は売上高が前期比5.4%減の44億42百万円、営業利益が74.4%減の67百万円、経常利益が68.0%減の89百万円、親会社株主帰属当期純利益が89.6%減の21百万円だった。配当は前期と同額の3円(期末一括)とした。配当性向は535.7%となる。
減収・大幅減益だった。システム開発サービスの回復遅れのほか、定額制コンテンツ運営管理費や人件費の増加なども影響した。
クリエーション事業(一般消費者向けコンテンツサービス、法人向けビジネスサポートサービス等)は、売上高が1.1%増の17億99百万円、営業利益(全社費用等調整前)が20.0%減の3億68百万円だった。一般消費者向けコンテンツサービスは月額コンテンツがプロモーション強化で増加に転じたほか、通信キャリアの定額制コンテンツが販促強化や新タイトル投入などの効果で増収となったが、法人向けビジネスサポートサービスはキッティング支援(代行サービス)などが減収だった。
ソリューション事業(法人向けシステム受託開発・運用等)は、売上高が9.4%減の26億42百万円、営業利益が26.5%減の2億75百万円だった。人手不足問題にマッチした業務支援サービスが増収だったが、システム開発サービスの回復が遅れた。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が10億69百万円で営業利益が1百万円、第2四半期は売上高が10億85百万円で営業利益が11百万円、第3四半期は売上高が11億09百万円で営業利益が23百万円、第4四半期は売上高が11億79百万円で営業利益が32百万円だった。
26年5月期の連結業績予想は売上高が前期比20.0%増の53億30百万円、営業利益が3.5倍の2億40百万円、経常利益が2.8倍の2億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が7.1倍の1億55百万円としている。配当予想は前期と同額の3円(期末一括)としている。予想配当性向は74.6%となる。
クリエーション事業ではコンテンツサービスやキッティング支援などの拡大、ソリューション事業ではシステム開発サービスの復調などを見込んでいる。積極的な事業展開で収益回復を期待したい。
■株価は下値切り上げ
株価は上値の重い形だが、一方では下値を切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。8月13日の終値は119円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS4円02銭で算出)は約30倍、今期予想配当利回り(会社予想の3円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS122円87銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約46億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)