三菱電機、米Nozomiを完全子会社化へ、OT(制御・運用技術)セキュリティ強化狙う

■約8億8300万ドルで残余持分取得、2025年中に取引完了予定

 三菱電機<6503>(東証プライム)は9月9日、米国のOT(制御・運用技術)セキュリティソリューション企業であるNozomi Networks Inc.の全持分を取得し、完全子会社化する合併契約を締結したと発表した。既に7%の持分を保有していたが、残り93%を約8億8300万米ドル(約1300億円))で取得し、特別目的会社を通じた逆三角合併方式で実施する。取引完了は必要な規制当局の承認などを経て2025年中を予定している。これによりNozomiは三菱電機の完全子会社となる見通しである。

 背景には、製造業や社会インフラのIoT化やDX化の進展に伴い、現場機器のネットワーク接続が進みサイバー攻撃リスクが高まっていることがある。三菱電機はこれまで金融業界をはじめとしたITセキュリティ技術に加え、現場設備やシステムを守るワンストップOTセキュリティソリューションを展開してきた。今回の完全子会社化により、Nozomiの高成長性(年平均成長率33%)と高収益性(粗利率7割超)を取り込み、両社の強みを融合させることで事業強化を図る。特にNozomiの侵入検知・可視化プラットフォームを活用し、三菱電機のデジタル基盤「Serendie®」と連携した新サービス創出を目指す。

 合併は三菱電機が設立した米国子会社Nirvana Merger Sub,Inc.とNozomiの逆三角合併の形で行われ、現株主には現金が交付される。Nozomiは2016年設立で、カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置き、従業員数は315名。売上高は2024年12月期で7469万5千米ドルに達している。今回の取引により三菱電機はグローバルNo.1のOTセキュリティソリューションプロバイダーを目指し、顧客のDX推進を安全かつ確実に支援する方針である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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