
■現物ETFに5営業日で40億ドル、クジラの長期保有が強気相場を牽引
10月8日、ビットコインは円建てで1,890万円超、ドル建てで12万5,000ドル超の史上最高値を記録した。背景には、現物ETF(上場投資信託)への巨額資金流入や、機関投資家による長期保有の姿勢、オンチェーンデータによるネットワーク成長の確認など、強固なファンダメンタルズがある。わずか5営業日で40億ドル(約6,000億円)が流入した現物ETFは、ビットコイン市場の需給をタイトにし、価格を押し上げた。また、クジラと呼ばれる大口投資家の保有量が過去の強気相場を上回るペースで増加しており、長期保有が進んでいる。ブロックチェーン上では、ネットワークのアクティビティ指標が過去最高水準に達しており、市場全体に強気ムードが広がっている。
■「トリプル高」相場、ビットコイン・金・株が同時上昇、不安と期待が交錯
こうしたビットコインの上昇は、地政学リスクや米国政府機関の閉鎖懸念といったマクロ経済不安とも連動する。FRBによる利下げ観測や米ドルの信認低下が広がる中、ビットコインは「デジタルゴールド」としての役割を強めている。同時期に金価格も上昇しており、実物資産への資金逃避が進行している。金は「有事の金」として評価され、ロシア・ウクライナ情勢や中東不安、インフレ傾向といった不安要素が高まるなかで、価格上昇を続けている。これら2資産が同時に上昇することは、金融政策と地政学の両面で不確実性が高まっている市場環境を反映している。
一方で、ビットコインと金の相関関係は長期的には「ほぼゼロ」に近い独立性を持つ。2012年から2020年にかけては相関係数が-0.1~+0.2で推移し、コロナ禍や戦争などで一時的に相関が高まった場面も、長期的には解消されている。2025年に入ってからも、金とビットコインの比率(BTC/Gold)は上下を繰り返しており、安定した連動性は確認されていない。こうした特性により、両資産はポートフォリオの中で互いに分散効果を発揮する存在として注目される。
現在の相場環境は「トリプル高」とも言える状況にある。ビットコイン、金、株式がそろって高値圏にある一方で、金融政策の転換点や地政学的緊張も同時進行している。今後の資産配分においては、株式を中心に据えつつも、債券や金、不動産、現金などをバランスよく組み合わせることが望ましい。特に暗号資産への投資はリスク許容度を見極めつつ、5%程度を上限に組み入れるのが現代的な手法とされている。市場変動が激しくなる局面では、柔軟な資産配分戦略が長期的なリターン確保の鍵を握るだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)