【株式市場特集】造船・舶用機器株が連騰、高市政権誕生で「経済安全保障トレード」本格化

■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に

 日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の99.5%を支え、その60%を日本商船隊が担う現状から、経済安全保障上の中核産業と位置づけられている。造船業再生に向けて3500億円を投じ、2035年に建造能力を1800万総トンへ倍増させる政策支援が要望されており、自民党内でも1兆円規模の基金創設が検討されている。海運市況の回復や脱炭素化需要の高まりを背景に、造船株・舶用機器株には上場来高値を更新する動きが広がり、連立政権下での次の成長セクターとして市場の注目を集めている。

■業績上方修正組や再開発関連株、防衛関連株の側面など多彩

 前週末24日に年初来高値を更新した造船株は、コード番号順にあげると住友重機械工業<6302)<東証プライム)、三井E&S<7003>(東証プライム)、カナデビア<7004>(東証プライム)、三菱重工表<7011>(東証プライム)、川崎重工業<7012>(東証プライム)、名村造船所<7014>(東証スタンダード)、内海造船<7018>(東証スタンダード)と続いた。

 造船株の目下の業績は、円高・ドル安、トランプ関税の影響などで総じて苦戦しているが、このなかで今3月期業績を上方修正したのは内海造船である。株価は年初来高値水準まで買い進まれたが、PER11倍の評価にしか過ぎない。またカナデビアのPERも12倍、PBRも1倍ソコソコと割安で、住友重機械は、今期業績を下方修正したが、閉鎖した浦賀ドックの再開発権者が決定したことを手掛かりに年初来高値へ駆け上がったが、PBRは0.83倍となお1倍を下回る。三菱重工業と川崎重工業は、今期業績を下方修正したが、臨時国会での首班指名選挙で高市早苗自民党総裁が首相に当選したことを手掛かりに防衛関連株人気を高め年初来高値。上場来高値を更新した。名村造船も、グループ化した佐世保重工業で米国海軍の艦艇修繕事業を展開しており、防衛関連株的な側面がある。

■グローバル・ニッチ・トップの底力発揮はこれから本番

 高値更新の舶用機器株は、同じくコード番号順に舶用エンジンのジャパンエンジンコーポレーション<6016>(東証スタンダード)、溶接機の小池酸素工業<6137>(東証スタンダード)、船舶用バルブの中北製作所<6496>(東証スタンダード)、舶用電子機器の古野電気<6814>(東証プライム)、舶用ハッチカバーのニッチツ<7021>(東証スタンダード)と続く。このうち小池酸素は、今年8月に下方修正した今3月期業績を9月に一転して上方修正しPER11倍、PBRは0.7倍、配当利回りは3.1%となお割安である。また古野電気は、今2月期業績を中間業績も含めて2回上方修正し、配当も増配予定である。中北製作所のPERも、16倍と市場平均を下回る。

 このほか舶用機器株は多彩で船底塗料の中国塗料<4617>(東証プライム)、舶用エンジンの阪神内燃機工業<6018>(東証スタンダード)、赤阪鉄工所<6022>(東証スタンダード)、ダイハツインフィニアース<6023>(東証スタンダード)、熱処理の新東工業<6339>(東証プライム)、圧縮機の加地テック<6391>(東証スタンダード)、配電制御システムの寺崎電気産業<6637>(東証スタンダード)、舶用計器の東京計器<7721>(東証プライム)などとなり、ダイハツインフィニア―スは、早くも今3月期業績を上方修正し、低PER株としては加地テックの11倍、寺崎電気の13倍が目立つ。グローバル・ニッチ・トップの底力発揮は本番を迎えそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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