2026年正月おせち、平均2万9098円、物価高で3.8%上昇

■約6割が値上げ、原材料・配送費などコスト上昇が影響

 帝国データバンクは11月15日、2026年正月シーズンに向けたおせち料理の価格調査結果を公表した。全国の大手コンビニエンスストア、百貨店、スーパー、日本料理店など110社(ブランド)を対象としたところ、標準的な三段重または3~4人前の平均価格は2万9098円(税込)となり、前年比1054円・3.8%の値上げとなった。物価高を受け原材料費や包装資材、配送費の負担が増し、約6割の65社が値上げした。1000~2000円台の小幅値上げが多い一方、高級志向品では食材のグレード向上により大幅値上げが目立った。

 原材料では、サーモン類の高騰は一服したものの、イクラや数の子は不漁や円安、人件費増で価格上昇が続く。黒豆類や鶏卵も不作やコスト増による値上げが見込まれ、資材費負担も重い。このため、海鮮中心の和風おせちに加え、「洋風」「中華風」や代替肉活用などバラエティ化が進み、食品ロス削減とコスト低減の工夫が強まった。量販店では「大容量」「お得感」を前面に、コスパ重視の傾向が鮮明となった。

 一方、高級ホテル監修などプレミアム品では「量より質」を掲げ、3000円超の値上げが2023年以降で最多の16社に上った。平均価格は「3万円の壁」に迫り、今後は低価格帯の価格引き上げが難しくなる一方、高価格帯は限定感や価値訴求が焦点となる。おせち市場は「節約志向」と「ごちそう」志向の二極化が進む構造であり、2027年以降は価格競争と差別化競争が同時に進むと見込まれる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■金融・医療・公共分野に特化した高精度処理、低コストで安全運用可能  NTT<9432>(東証プラ…
  2. ■ジャイアンツ球場隣接の221邸、シニアの健康・交流を支える新拠点に  フージャースホールディング…
  3. ■IT・スタートアップ中心に若手CEO台頭、経営のスピード化が進展  帝国データバンクは10月14…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■気温急低下がシーズンストック相場発進を後押し  今週のコラムでは、バリュー株選好の別の買い切り口…
  2. ■「押し」のAI株より「引き」のバリュー株選好で厳冬関連株の先取り買いも一考余地  「押してだめな…
  3. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  4. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  5. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  6. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る