【帝国データバンク調べ】2024年問題が直撃、人手不足倒産過去最多ペース

■小規模事業者に打撃、物流・建設業界で倒産急増

 帝国データバンクの調査によると、2024年上半期の人手不足倒産は182件に達し、前年同期の110件から大幅に増加した。これは統計として遡れる2013年以降の最多件数を2期連続で更新する深刻な状況だ。特に「従業員10人未満」の小規模事業者の人手不足倒産が全体の約8割を占めており、143件にのぼった。人手不足の背景には従業員の退職や採用難、人件費高騰がある。就業者数の増加が続いているものの、人手不足感は依然として高水準で推移しているため、今後も小規模事業者を中心に倒産が増加する可能性が高い。

■「2024年問題」の影響が顕在化、企業の生き残りが難しい局面

 2024年4月から運転業務や建設業務の時間外労働に上限規制が適用され、いわゆる「2024年問題」の影響が顕在化している。特に建設業では53件、物流業では27件の倒産が発生し、それぞれ年上半期として過去最多となった。これらの業種では労働力不足が深刻化しており、業務効率化が困難な状況が続けば、業績への影響は避けられない。企業の生き残りが難しい局面が予想される。

 物流業界においては、トラックドライバーの時間外労働上限規制や改善基準告示の改正により、人手不足倒産が前年同期比で倍増し27件に達した。物流業は多くの産業が関わるバリューチェーンの基盤であり、ここでの問題は全体への影響が大きい。企業の62.7%が「2024年問題」に対して何らかの対応策を講じている。運送費の値上げやスケジュールの見直しが上位に挙げられ、企業は物流面での対応を強化している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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