【小倉正男の経済コラム】識学・安藤広大社長 5つの仕組みで造る「高い成果を上げる組織」 参政党の組織造り支援で「24年衆院選の奇跡」を演出

■誤解、錯覚の集合体である組織の歪みを正していく仕組みを造る

 識学<7049>(東証グロース)は、1月13日に「組織の造り方・変え方」をアジェンダにセミナーを開催している。

 企業経営者層を対象としたもので、登壇者は安藤広大社長。「自動で高い成果を上げる組織を造る」という独自の組織運営メソッドである「識学」理論のレクチャーを実施している。

 識学は組織コンサルティングを主力事業とする新進企業(2019年上場)。しかし、すでに5000社の組織コンサル実績を持っている。

 「人は意識構造にある誤解、錯覚を持ちながら行動している。その人特有の思考の癖を持っている。組織にルールがあっても、思考の癖からそれぞれ事実に対する認識で誤解、錯覚が生まれる。そうした誤解、錯覚の集合体である組織の歪みを正していく仕組みを造っていく」
 安藤社長は、識学の組織コンサルをそのように表現している。

■5つの仕組み=「姿勢のルール」「組織図」「週次会議」「評価制度」「競争環境」

 識学の仕組み造りでは、「姿勢のルール」「組織図」「週次会議」「評価制度」「競争環境」など具体的な組織コンサルの5つの手順を開示している。安藤社長は、これらの取り組みにより「自動で高い成果を上げる組織が造られていく」としている。

 企業組織の上司(管理職)と部下の関係は永遠の課題ともいえる。だが、そう捉えれば改善・改革はムダという諦めにつながりかねない。

 例えば「市場環境が悪い」「景気が悪い」「商材が悪い」「上司が悪い」と社内外評論・言い訳はいくらでもある――。企業組織の一員でも所属する会社をあげつらうことは、身につまされるが“自己弁護”などからありがちな言動である。

 「この国は――」「この会社は――」、自分が所属する組織を客観対象化する“評論家”ばかりでは国も企業も強くはならない。

 安藤社長はレクチャーのなかでこう話している。
 「責任と権限の明確化、結果に対する評価などの仕組み造りを行う。頑張らなければならない環境を造ることで、自動的に高い成果を上げる組織にする。組織の成長と、そのなかの個人の貢献・エネルギーがリンクする“進行感”が持てるようにする」

■責任、権限、結果を曖昧化すれば組織は確実に衰退する

 日本の企業のなかには「村」の意識、「村落共同体」よろしく責任、権限、結果を明確化すれば組織がギスギスすると軋轢を避ける面がないとはいえない。同業間競争も奈良時代からの「座」の歴史からか、ほどほどなものであり“熾烈な戦い”であることは珍しい。

 識学の組織造りとは逆だが、責任、権限、結果を曖昧化しておけば、上も下も「気楽な稼業」(植木等)で過ごせる。「みんなで渡れば怖くない」(ビートたけし)。このあたりの世相(責任免罪)を語る名言は遠く昭和時代から少なくない。

 そうした揶揄で笑ってきたわけだが、いまは日本企業の衰退・弱体ぶりから揶揄する余裕すらもなくなっている。責任、権限、結果の曖昧化では、企業は強くならないどころか確実に衰退していく。

■揺籃期、試行錯誤繰り返す参政党の組織造り支援に取り組んだ理由

 安藤社長は、このセミナーで1月21日に『理念ファーストの組織運営 参政党はなぜ強いのか』(参政党・神谷宗幣×識学・安藤広大共著=幻冬舎)を発売すると公表している。

 同書の冒頭で神谷代表は率直に語っている。
 「参政党が躍進できた一番の理由は、強い組織を作ったからです」「立ち上げ時に作った参政党の理念に安藤さんの識学の理論が加わり、愚直に真っ直ぐに、多くの成功と失敗を繰り返してきたから、組織は一段と、強く、大きくなれました」

 22年参院選後から、参政党は識学理論の組織コンサルとのコラボで組織造りを行ってきている。安藤社長は、神谷代表の「日本を残したい」という思いは「自分の思いだった」と発言。いわば共鳴したとしている。

■強い組織造りが結実した参政党の「24年衆院選の奇跡」

 参政党は24年衆院選で740万票超(比例代表)獲得、党員は10万人を超えている。参政党の是非・賛否については議論が残るが、参政党が目論んだ強い組織造りは「24年衆院選の奇跡」を起している。26年2月衆院選ではこの奇跡の勢いがさらに検証に晒されることになる。

 この本では、ヒトもカネもゼロ状態だった参政党の組織造りの試行錯誤を時系列で取り上げている。「企業組織のチーム・マネジメントに悩んでいる方々、起業を志す方々にも学びになるケーススタディ。政治に興味がない、参政党が嫌いだ、という方にも読んでほしい」。安藤社長はそのような思いを語っている。

 海のものとも山のものとも判然としないところから新たな組織の成長が生み出されていく。そうした生成過程のケーススタディは、ある種“ビッグバン”に近い現象といえそうである。先行きの参政党がどう跳ぶのかあるいは転ぶのかは私には読めないが、それはそれで組織論として興味深い試みであるのは確かである。(経済ジャーナリスト)

(小倉正男=「M&A資本主義」「トヨタとイトーヨーカ堂」(東洋経済新報社刊)、「日本の時短革命」「倒れない経営~クライシスマネジメントとは何か」(PHP研究所刊)など著書多数。東洋経済新報社で企業情報部長、金融証券部長、名古屋支社長などを経て経済ジャーナリスト。2012年から当「経済コラム」を担当)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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