【編集長の視点】東宝は過去最高の3Q業績に自己株式取得・増配がオンして急続伸

東宝 9602

東宝<9602>(東1)は、76円高の2736円と急続伸して始まり、昨年12月25日につけた昨年来高値2839円を射程圏に捉えている。前日13日大引け後に今2月期第3四半期(3Q)決算とともに、自己株式取得、期末配当の増配を同時に発表、3Q業績が、3Qとして過去最高となり昨年10月に上方修正した2月通期業績に対して高利益進捗率を示したことも評価して内需株買いが増勢となっている。昨年10月の業績上方修正などでは、昨年来高値まで400円高しており、再現思惑を強めている。

■「GODZILLA」、「アナと雪の女王」などのメガヒットが寄与

3Q業績は、前年同期比5.1%増収、25.3%経常増益、54.6%純益増益と増収増益転換し、2月通期業績対比の利益進捗率は、82~86%と目安の75%を大きく上回った。映画事業の映画営業部門では、公開から60周年を迎えた「ゴジラ」が、ハリウッド版の「GODZILLA」が世界的にヒットし、映画興行事業ではアニメ作品「アナと雪の女王」などのメガヒットが続き、演劇事業でも、相次ぎ全席完売となる話題作を提供、道路関連の子会社の業績も好調に推移したことなどが要因となった。

2月通期業績は、昨年10月の上方修正値を据え置き、売り上げ1970億円(前期比0.3%減)、経常利益303億円(同0.1%減)、純利益198億円(同11.9%増)と見込んでいる。ただ、昨年12月20日に公開した映画「妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」が、同社始まって以来の前売り券売り上げ100万枚超となったことなどから期末にかけての業績再上ぶれ観測も出ている。期末配当は、主力の映画事業が、好調に推移していることから特別配当を5円増配し、年間配当を25円(前期実績20円)に引き上げる。

一方、自己株式取得は、資本効率の向上、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を図ることを目的に100万株(発行済み株式総数の0.54%)、30億円を上限としており、取得期間は1月14日から来年1月13日までとしている。

■期末の配当・株主優待制度の権利取りも加わり高値に再チャレンジ

株価は、業績上方修正で2765円まで買い進まれて一段高し、「妖怪ウォッチ」が、記録的前売り券販売を記録したことが続いて昨年来高値まで2段高、25日移動平均線を出没して中段固めを続けてきた。投資採算的には割安感は乏しいが、全般相場がなお波乱展開が懸念されるなか、内需株人気を高め期末の配当・株主優待制度の権利取りも加わり高値に再チャレンジしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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