【編集長の視点】LINEは続落も2Q黒字転換業績、渋谷区とのパートナー協定締結を見直し再騰含み

 LINE<3938>(東1)は、70円安の4185円と続落して始まっている。今年8月1日につけた上場来安値3780円からの底上げ途上にあり、目先の利益を確定する売り物が先行している。

 ただ同社株は、今年7月15日に新規株式公開(IPO)されたばかりで、初決算として7月27日に発表した今12月期第2四半期(2016年1月~6月期、2Q)累計業績が黒字転換して着地したことを見直し、12月通期業績への期待を高めて下値には直近IPO株買いが交錯している。8月3日に東京都渋谷区と行政サービスのパートナー協定を締結したことや、ここにきて内外の証券会社が、最上位の投資判断や強気の目標株価で新規にカバーを開始したことなども追撃材料視される展開も想定される。

■四半期ごとの営業黒字転換幅が拡大し12月通期純利益も黒字転換観測

 2Q累計業績は、売り上げが673億1000万円(前年同期比19.8%増)と大幅に続伸し、営業利益が133億6700万円(前年同期は9億3400万円の赤字)、税引前利益が106億8800万円(同10億4400万円の赤字)、純利益が28億6600万円(同53億5200万円の赤字)とそれぞれ黒字転換した。四半期別の3カ月間の営業利益は、今期第1四半期(2016年1月~3月期、1Q)に53億3800万円と黒字転換したが、2Qではその黒字額を80億2900万円にさらに伸ばした。

 LINEビジネス・ポータル事業を中心に事業展開を積極推進、LINEのMAU(月間ユーザーアカウント数)が、2Q末に前年同期比4.1%増の2億2000万人、うち主要4カ国のMAUが、同20.8%増の1億5700万人となり、新商材のポップアップスタンプをリリースし、LINEクリエイターズ着せかえを新規に開始、広告売り上げでも従来のメッセンジャー型広告に加え、6月にLINE Ads Platformを開始しパフォーマンス型広告が収益に着実に寄与したことが要因となった。

 同社は、モバイルアプリケーション市場が国内外で急激に変化し不確実性が存在するとして今12月期通期業績の予想を開示していないが、第3四半期も営業黒字を達成できるとしており、12月通期業績も黒字転換、純利益は、40億円程度の黒字(前期は79億7200万円の赤字)と観測されている。

■最高値から最安値への調整幅の3分の1戻しをクリアし全値戻し期待高める

 株価は、3300円を公開価格にIPOされ4900円で初値をつけ上場来高値5000円まで買い進まれ、上場来安値3780円まで調整したが、地方自治体の行政サービスのIT化/高度化を支援する協定を初めて東京都渋谷区と締結したことを手掛かりに底上げに転じた。株価水準は、最高値からIPO2日目にまどを開けて調整最安値をつけたが、この調整幅の3分の1戻しをクリアし2日目に開けた窓を埋めている。さらに半値戻しとリバウンド幅を拡大し、証券各社の目標株価通りに全値戻しに弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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