【編集長の視点】ショーケース・ティービーはもみ合いも2Q業績の再上方修正と9つ目の特許取得を再評価して再騰含み

 ショーケース・ティービー<3909>(東マ)は、16円高の1026円と続伸して始まったあと、20円安と下ぶれるなど前週末19日終値を挟んでもみ合っている。今年8月8日につけた株式分割の権利落ち後安値930円からの底上げ途上にあり、目先の利益を確定する売り物が交錯している。ただ同社は、今年8月2日に今12月期第2四半期(2016年1月~6月期、2Q)累計業績の2回目の上方修正と同社9つ目の特許取得を同時発表しており、下値からこれを見直し下げ過ぎ訂正買いが強まる展開も想定される。AR/VR(拡張現実/仮想現実)やAI(人工知能)技術での相次ぐ国際的な業務提携、フィンテック(金融と技術を組み合わせた新金融サービス)関連の子会社設立などIT(情報技術)の最先端で成長戦略を続けていることも、フォローの材料視されそうだ。

■Webサイト最適化サービスとDMP広告関連サービスが堅調に推移

 同社の今期2Q累計業績は、期初予想が今年5月に上方修正され、その修正値をさらに8月に再上方修正した。5月修正値より売り上げを200万円、営業利益、経常利益を各2100万円、純利益を1200万円引き上げたもので、2Q累計業績は、この再上方修正通りに前年同期比14.9%増収、8.8%営業増益、22.1%経常増益、26.7%純益増益で着地し、連続過去最高業績を伸ばした。売り上げは、Webサイト最適化サービスに加えて、とくにDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)を活用した広告関連のサービスが堅調に推移し、利益は、成長戦略投資を継続しながらも、生産性を向上させ、コストを抑制した事業運営を推進して再上方修正につながった。

 今12月期通期業績は、依然として経済情勢先行きが不透明として期初予想を据え置いたが、売り上げ15億円(前期比21.2%増)、営業利益3億1500万円(同3.1%増)、経常利益3億1500万円(同7.9%増)、純利益1億8600万円(同3.5%増)と連続の過去最高更新を見込んでいる。

 一方、同社が取得した特許は、個人情報の暗号化技術に関するものでデータ管理システム、データ管理プログラム、通信端末およびデータ管理サーバにアクセスしたプラウザ端末にユニークなID(端末ID)を発行し、端末IDをベースに鍵を生成して暗号化、ネットワーク上の個人情報が安全、容易に運用でき、会員情報などの個人情報を大量にサーバに保管しているサイト運営企業などでの導入などが想定される。同特許は、2010年2月に特許を取得した入力フォームの最適化技術以来9つ目となるもので、このほか同社は、多数の特許を申請している。今年6月のAR/VR技術での英国KUDAN社との業務提携、同7月のAI技術での米国Adatos社との業務提携、同7月のフィンテック関連の子会社アクル社設立などと並ぶ成長戦略として同社業績の高成長を牽引する。

■2回目の株式分割落ち後安値から1回目の株式分割の権利落ち高値を目指す

 株価は、今年3月31日、7月31日を基準日に2回の株式分割(いずれも1株を2株に分割)を実施し、2回目の株式分割では2199円で分割権利を落とし、分割権利落ち後安値928円から今期2Q累計業績の2回目の上方修正と特許取得の同時発表でストップ高して落ち後高値1294円まで買い進まれ、1000円台を出没している。今年5月の1回目の2Q累計業績の上方修正では、権利落ち換算で1425円まで買い進まれていることも連想され、2回目の権利落ち高値1294円奪回から一段の下げ過ぎ訂正買いが高まり、権利落ち埋めを目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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