【編集長の視点】シンシアは続落も初決算発表を先取り最高業績観測を手掛かりに直近IPO株買いの再燃が有力

 シンシア<7782>(東マ)は、前週末13日に45円安の3695円と続落して引けた。同社株は、昨年12月16日に新規株式公開(IPO)され、昨年12月30日の大納会に上場来高値4910円まで買い進まれ、新年相場では利益確定売りなどが先行して2番底模索を続けてきた。ただ下値には、今年2月中旬に発表が予定されているIPO後の初決算の前2016年12月期業績を先取り、続く2017年12月期の純利益が、増益転換し4期ぶりに過去最高を更新すると観測されていることを手掛かりに、既上場の類似会社に比べて割安として直近IPO株買いが交錯しており、最高値奪回への再発進期待を高めている。

■新流通経路拡大、カラーコンタクトレンズ注力などの成長戦略を積極展開

 同社の目下集計中の前2016年12月期業績は、IPO時に売り上げ49億400万円(前々期比15.6%増)、営業利益5億7600万円(同2.83倍)、経常利益3億1900万円(同0.2%増)、純利益1億9100万円(同9.6%減)と増減マチマチと予想された。使い捨てコンタクトレンズの製造・販売メーカーだが、既上場の類似会社と異なって新流通経路のドラッグストアルートへの展開を積極化するとともに、OEM(他社ブランドの製造受託)を含めてカラーコンタクトレンズに注力し、「日本発」ブランドとしてアジア市場にも進出するなど独自のビジネスモデルによる成長戦略を積極化しており、前期売り上げ、営業利益が、大きく伸びた。ただ、純利益は、円高に伴い商品輸入のための為替変動リスクをヘッジする目的のデリバティブ商品に3億5500万円の損失が発生し減益転換を見込んだ。

 続く今2017年12月期業績は、昨年9月末に3500店舗(2015年12月期3270店舗)まで増加したドラッグストアルートをさらに拡大させるとともに、インターネット販売を強化し、アジア市場についてもカラーコンタクトレンズを日本のおしゃれ文化の一つとして積極発信させることなどから続伸、純利益は、損失一巡からV字回復が有力である。東洋経済会社四季報最近号では、今期純利益を4億8000万円と観測、2013年12月期の過去最高(3億6300万円)を更新することになる。IPO後の初決算となる前期業績は、今年2月中旬に発表予定であり、注目が集まることになろう。

■今2017年12月期業績観測ベースで割安が目立ち最高値奪回に再発進

 株価は、初値を公開価格の2100円を下回る1950円で初値をつけたが、その後、連続のストップ高を交えて上場来高値4910円まで買い進まれて公開価格比2.3倍となり、まさにIPO株の投資セオリーの「小さく産んで大きく育てる」通りの展開となった。新年相場では、利益確定売りが交錯して最高値からおよそ3割安の水準で三角保ち合いを形成しているが、PERは、会社四季報の今期業績観測ベースで15倍台と既上場の類似会社に比べて割安で押し目買い妙味を示唆しており、最高値奪回から上値チャレンジが続こう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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