【編集長の視点】ワールドは相次ぐM&Aがフォローして期末の増配権利取りに一考余地

■増配権利取りのインカムゲイン妙味と値幅取りのキャピタルゲインに期待

 ワールド<3612>(東証プライム)は、前日19日に30円安の2370円と反落して引けた。日経平均株価が、105円安と3営業日ぶりに反落したことから、今年2月12日につけた直近安値2352円からのリバウンドを窺っていた同社株も戻り売りに押された。ただ同社は、今年1月8日に今2025年2月期業績の上方修正と期末配当の増配を発表しており、期末接近とともに下値での増配権利取りも一考余地がありそうだ。同上方修正は、三菱商事ファッション(東京都港区)の株式取得などの相次ぐM&Aが一つの要因となっており、来2026年2月期業績も、現在推進中の中期経営計画で過去最高のコア営業利益を目標にしていることが、フォローの材料として意識されよう。

■負ののれん発生益も加わって業績を上方修正し純利益は過去最高更新

 同社の今2月期業績は、売り上げ、コア営業利益は期初予想を据え置き売り上げ2300億円、コア営業利益170億円としたが、営業利益を10億円、経常利益を9億5000万円、純利益を26億円それぞれ引き上げ営業利益165億円、経常利益155億円、純利益111億円と見込んだ。前期業績が、11カ月決算のため前期比較はないが、純利益は2019年3月期の過去最高(92億円)を更新する。ブランド事業では、ライフスタイルブランドが底堅く推移し、デジタル事業・プラットフォーム事業も順調に推移し、93億2500万円を投資した三菱商事ファッションの連結子会社化による負ののれん発生益や連結子会社のラクサス・テクノロジーズ<288A>(東証グロース)の新規株式公開(IPO)なども上ぶれ要因となった。期末配当は、期初予想の38円を43円(前年同期実績30円)に引き上げ、年間80円(前期実績56円)に大幅増配を予定している。

 M&Aは、三菱商事ファッションのほか、持分法適用会社によるライトオンの株式公開買い付け(TOB)、さらに今年1月15日発表の持分法適用会社でデジタルサービス事業を展開するOpenFashion(東京都港区)株式の追加取得などと続いている。同社は現在、2027年2月期を最終年度とする中期経営計画を推進しており、最終年度のコア営業利益は190億円と2019年3月期の過去最高(163億円)を更新することを目標としており、M&Aによる水平・垂直展開により来2026年2月期業績の高成長が予想される。

■インカムゲインとともにPER7倍、PBR0.9倍の修正でキャピタルゲインも

 株価は、今期第2四半期の好決算にライトオンのTOBがオンして2180円と上値を伸ばし、三菱商事ファッションの連結子会社化、ラクサス・テクノロジーのIPO、今期業績の上方修正・増配と続いて昨年来高値2723円をつけ足元では25日移動平均線を出没する下値固めを続けてきた。PERは7.4倍、PBRは0.98倍、年間配当利回りは3.37%と割安示唆となっている。増配権利取りのインカムゲイン妙味とともに値幅取りのキャピタルゲインも期待され、年初来高値奪回から上場来高値2779円を上抜け、高値チャレンジが続こう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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