【編集長の視点】アスカネットは反落もAI焼香台の導入増加を手掛かりに下げ過ぎ訂正買いが再燃余地

 アスカネット<2438>(東マ)は、前日1日に40円安の1437円と反落して引けた。同社株は、今年2月9日につけた直近安値1302円から200円超幅のリバウンドをしており、前日に日経平均株価が、続急落して心理的なフシ目の2万2000円台を下回ったことが響き、同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ下値には、依然として今年2月22日付けの大手経済紙により、同社がメモリアルデザインサービス(MDS)事業で新たに展開しているAI焼香台の導入台数が、急速に増加し普及していると報道されたことを手掛かりにした下げ過ぎ訂正買いが続いた。また、これに加えて同社は、経営の「第3の柱」として確立を目指す空中にリアルな三次元映像を映し出す「ASKA3D」を国内外の展示会で積極的にアピールしているだけに、今年3月6日に発表を予定している今2018年4月期第3四半期(2017年5月~2018年1月期、3Q)決算で、4月期通期業績に対してどのような進捗率を示すかも注目ポイントに浮上している。

■全国の葬儀社の導入台数は今年1月末の56台がさらに約80台に拡大

 AI焼香台は、空中結像を実現する同社独自技術のAIプレート(ASKA3Dプレート)3枚を祭壇の前に設置された焼香台にはめ込み、同社が写真加工した故人の遺影や動画が各方面から映し出される新開発製品で、葬儀の喪主や会葬者にこれまでにない感動や驚きの演出を提供している。同焼香台は、今年1月末現在で全国の葬儀社向けに累計で56台導入されているが、今年2月22日付けの大手経済紙では、導入台数は約80台と報道されており、急速な導入・普及が進んでいることを示唆した。

 一方、「AIプレート」は、呼称を「ASKA3Dプレート」に変更しサービスブランド名を「ASKA3D」に統一して引き続き国内外の展示会に相次ぎ積極出展した。昨年12月5日~7日に中東のドバイで開催された「Imfocomm MEA2017」には、5面空中壁面サイネージ(電子看板)をメーンに出展し、今年1月7日~12日に米国のラスベガスで開催された全米最大のエレトロニクス見本市「CES2018」には、英国のUltrahapitics社が開発した触感フィードバックシステムと融合させて出展した。国内外での積極的なアピールにより同製品を展開するエアリアルイメージング事業の売り上げは、今4月期第2四半期(2017年5月~10月期、2Q)に5800万円(前年同期実績2300万円)と2.5倍となり、今4月期通期でも1億6000万円(前期実績6000万円)と拡大が計画されている。

 今4月期通期業績は、この「ASKA3D」の試作品や量産化技術の開発費用、国内外への展示会への出展費用増などを考慮して慎重予想となっている。売り上げ56億9600万円(前期比4.7%増)、営業利益7億7100万円(同3.7%減)、経常利益7億7600万円(同3.6%減)、純利益5億4100万円(同5.5%減)と、売り上げは続伸するものの、利益は、前期の過去最高からの小幅減益転換を見込んでいる。この通期予想業績に対して、今年3月6日に発表予定の今期3Q業績が、どの程度の進捗率をみせるか注目されている。

■投資セオリーの「半値戻しは全値戻し」の途上で25日線抜を上抜きまず年初来高値奪回へ

 株価は、昨年9月に樹脂製AIプレート開発報道でストップ高を交えて2130円高値まで700円高し、昨年末には1450円安値まで調整してほぼ往って来いとなり、年明け後は「CES2018」出展で1845円の年初来高値をつけ調整幅の半値戻しを達成した。そのリバウンド途上で、米国の長期金利上昇を発端にした世界同時株安に巻き込まれて1302円安値へ突っ込んだが、大手経済紙によるAI焼香台報道を受けて売られ過ぎとして即25日移動平均線水準まで戻し押し返された。投資セオリーの「半値戻しは全値戻し」が進行中であり、再び25日線を上抜いて弾みをつけまず年初来高値を奪回しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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