【編集長の視点】ヨコレイは通期業績予想を取り下げも高配当は変わらず下げ過ぎ訂正で反発

ヨコレイ(横浜冷凍)<2874>(東1)は、前日25日に7円高の882円と4営業日ぶりに反発して引けた。同社株は、5月14日に今2020年9月期第2四半期(2019年10月~2020年3月期、2Q)累計業績を下方修正し、9月通期業績予想を取り下げて未定と変更したが、実際に15日に発表した2Q累計業績が下方修正値よりやや上ぶれ着地し、今期年間配当を年間25円の高配当は不変としていることを手掛かりに下げ過ぎ修正買いが再燃した。また5月18日には横浜みらいHRD・横浜みらいサテライト(神奈川県横浜市)が完成したことも、一連の冷蔵倉庫の設備能力増強策が業績寄与を強めるとしてサポート材料視されている。

■年間配当23円を安定継続し物流センターの新設増強も続く

 同社の今期2Q累計業績は、売り上げを期初予想より150億円、営業利益を同8億円、経常利益を同10億円、純利益を同6億円それぞれ引き下げた。ただ実際に開示された同業績は、下方修正値をやや上ぶれ、売り上げ583億7500万円(前年同期比19.0%減)、営業利益19億1400万円(同27.2%減)、経常利益21億8900万円(同23.8%減)、純利益12億8200万円(同28.7%減)と期初の続伸予想が減収減益転換した。消費税増税や新型コロナウイルス感染症拡大の影響のほか、食品販売事業で今年1月に吸収合併した食品関連の子会社2社の合併前の在庫整理による損失も重なったことなどが要因となった。

 今9月期通期業績は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)の環境下、現時点では未確定要素が多く適正・合理的な業績予想の算出は困難として期初予想を取り下げ未定とした。配当については、中間配当を11.5円、期末配当も11.5円とし年間23円(前期実績23円)の安定継続を予定している。新型コロナウイルス感染症の拡大とともに発出された「非常事態宣言」は、前日25日に全面的に解除されただけに、経済活動の再開ととともに同社業績の先行も好転期待が高まってこよう。

 なお同社の積極的な物流センター新設は、今期に入り今年2月にはつくば物流センター(茨城県つくば市)、5月18日の横浜みらいHRD・横浜みらいサテライトの各竣工のあと、5月の長崎ソーティングスポット(長崎県長崎市)、2021年1月のアイランドシティ物流センター(福岡県福岡市)の各竣工・稼働開始などと続く。

■PBR、配当利回りはなお下げ過ぎを示唆し25日線水準から年初来高値奪回へ

 株価は、年初来高値1005円から新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる世界同時株安に巻き込まれて年初来安値711円へ突っ込み、下げ過ぎ修正に「巣ごもり消費」関連株人気がオンして985円の戻り高値まで38%高した。同戻り高値後は、25日移動平均線水準での中段固めが続き、今回の業績修正もこの25日線水準で持ちこたえ三角保ち合いに煮詰まり感を強めている。通期予想業績取り下げでPER評価は難しくなったが、PBRは0.66倍、年間配当利回りは2.60%となお下げ過ぎ水準を示唆している。三角保ち合いを上放れ戻り高値抜けから年初来高値1005円奪回へ向かおう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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