パイプドHDは18年2月期営業利益横ばいだが19年2月期の収益拡大期待

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 パイプドHD<3919>(東1)は情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として、情報資産プラットフォーム事業、広告事業、ソリューション事業、および社会イノベーション事業を展開している。18年2月期は先行投資負担で営業利益横ばい予想だが、19年2月期は収益拡大が期待される。株価は高値圏から反落したが自律調整の範囲だろう。

■情報資産プラットフォーム事業などを展開

 国内最大規模の情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として、情報資産プラットフォーム事業(情報資産プラットフォーム「スパイラル」によるデータ管理などのクラウドサービス提供)、広告事業(アフィリエイトASP一括管理サービスなど)、ソリューション事業(インターネット広告制作やWebシステム開発の請負、BIMコンサルティング、デジタルCRMなど)を展開している。

 また18年2月期から「政治山」および「I LOVE 下北沢」を運営する2社を設立し、公益性の高い事業を行う社会イノベーション事業をセグメントとして新設した。

 情報資産プラットフォーム事業は、契約数増加に伴って月額サービス収入が拡大するストック型の収益構造である。なお広告事業の売上高は、広告枠の仕入高を売上高から控除する純額表示(ネット表示)としている。

■中期経営計画2020のテーマは「リ・イノベーション」

 中期経営計画2020ではテーマに「リ・イノベーション」を掲げた。重点戦略として、リアルビジネスとの接点の強化、イノベーティブな事業への挑戦、グループ全体の採用・育成の強化、グループ各社の情報資産の有効活用を推進する。目標数値は20年2月期売上高73億円、営業利益17億円としている。

 17年3月には予約顧客管理システムのプラットフォーム提供や、ヘルスケア業界に特化したコミュニティサイト運営を行っているクロスリンクの第三者割当増資を引き受けた。17年12月には電子地域通貨プラットフォームを提供する新会社エルコインを設立した。

 18年2月にはメディコムおよびトライベック・ストラテジーの2社と共同で、業界初となる製薬企業向けマーケティングオートメーションパッケージ「BtoD」の開発を発表した。またO2Oアプリ「NEARLY」を提供するipoca社の第三者割当増資引き受けを発表した。

 3月19日にはエルコインの子会社シモキタコインの設立を発表した。エルコインが提供する電子地域通貨プラットフォームにおける発行事業者第1号として、下北沢で行われるイベントや商業施設等で利用される電子地域通貨を発行する。

■18年2月期営業利益横ばい予想だが19年2月期収益拡大期待

 18年2月期連結業績予想は売上高が17年2月期比10.4%増の53億円、営業利益が横ばいの8億45百万円、経常利益が3.4%減の8億35百万円、純利益が16.2%増の4億70百万円としている。人材採用・育成強化などの先行投資負担で営業利益は横ばいだが、純利益は2桁増益予想である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比9.2%増の38億08百万円、営業利益が1.0%増の6億03百万円、経常利益が0.7%減の6億02百万円、純利益が30.4%増の3億72百万円だった。

 売上面では主力の情報資産プラットフォーム事業が堅調に推移した。合計の有効アカウント数は3.1%減の1万377件となった。一部事業撤退などで減少したが、高単価商材のスパイラルは堅調に推移している。

 利益面では外注加工費の増加や、積極的な人材採用に伴う人件費の増加などで営業利益は微増にとどまった。売上総利益率は69.5%で0.5ポイント低下、販管費比率は53.7%で0.8ポイント上昇した。しかし前期の特別損失に計上した固定資産除却損やセキュリティ事故対応費用などが一巡して最終大幅増益だった。

 情報資産プラットフォーム事業は、売上高が10.3%増の26億93百万円、営業利益が7.6%減の6億10百万円、有効アカウント数が9852件だった。広告事業は、売上高が18.8%減の1億38百万円、営業利益が31百万円の赤字(前年同期は29百万円の黒字)で、有効アカウント数が161件だった。

 ソリューション事業は、売上高が11.1%増の9億43百万円、営業利益が36百万円の黒字(同59百万円の赤字)で、有効カウント数が250件だった。社会イノベーション事業は、売上高が25.5%増の33百万円、営業利益が13百万円の赤字(同35百万円の赤字)で、有効アカウント数が114件だった。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が71.9%、営業利益が71.4%、経常利益が72.2%、純利益が79.2%と順調である。なお配当予想は17年2月期と同額の年間21円(第2四半期末9円、期末12円)で、予想配当性向は33.9%となる。

 18年2月期は先行投資負担で営業利益横ばい予想だが、19年2月期は収益拡大が期待される。

■株価は高値圏から反落したが自律調整の範囲

 株価は急伸した2月高値1698円から反落したが、目先的な過熱感が解消した。自律調整の範囲だろう。

 3月22日の終値1457円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS61円94銭で算出)は23~24倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間21円で算出)は1.4%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS274円71銭で算出)は5.3倍近辺である。時価総額は約118億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなりそうだ。自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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