【株式評論家の視点】ブライトパス・バイオは「ITK-Ⅰ」の業務量の増加が注目、突っ込み買い妙味膨らむ

株式評論家の視点

 ブライトパス・バイオ<4594>(東マ)は、がん免疫療法の一つの形態である「がんペプチドワクチン」の創製をミッションとして2003年に創業。がん治療の革新とフロンティア拡大をもたらしつつある「がん免疫療法」の開発。後期臨床試験段階から創薬探索段階までの、様々な医薬品形態のパイプラインを持ち、グローバルに開発を行っている。

 リード開発品であるペプチドワクチン「ITK-Ⅰ」は、平成25年6月以降、ライセンス・アウト先の富士フイルム株式会社とともに、国内において去勢抵抗性前立腺がん患者を対象とする第Ⅲ相臨床試験を進めている。現在は経過観察期間に入っており、最終解析に向けた準備が進められている。米国で開発中のペプチドワクチン「GRN-1201」については、単剤での治療効果に関する評価が確立された免疫チェックポイント阻害抗体の次のテーマとして、併用パートナー薬との複合的がん免疫療法が志向される中で、非小細胞肺がんを対象に、免疫チェックポイント阻害抗体と当該ワクチン併用の第Ⅱ相臨床試験を推進している。

 新規モダリティは、iPS細胞技術をがん免疫療法へ応用する細胞医薬の開発を開始しており、2017年度に開始したiPS細胞由来再生T細胞療法(iPS-T)に続き、18年3月に国立研究開発法人理化学研究所と「iPS-NKT細胞療法」の共同研究を開始。今後、頭頚部がんを対象とする医師主導治験が19年度中に開始される予定。

 また、これまでITK-Ⅰで実現しようとしてきたテーラーメイドがんワクチン療法をさらに推し進めた、遺伝子レベルで個人差に対応する完全個別化ネオアンチゲン・ワクチン療法を開発するため、国立研究開発法人国立がん研究センター、国立大学法人東京大学及び地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター、並びに国立大学法人三重大学とそれぞれ共同研究を開始している。

 前2018年3月期業績実績は、売上高3億5400万円(前の期比33.1%減)、営業損益15億6100万円の赤字(同11億1300万円の赤字)、経常損益15億7300万円の赤字(同11億1600万円の赤字)、最終損益15億7700万円の赤字(同11億1300万円の赤字)に着地。富士フイルム株式会社から第Ⅲ相臨床試験の実施を受託しているが、第Ⅲ相臨床試験の進捗に伴う治験業務受託報酬等に関する売上が増加、計画より業務量が増加したため、従来計画を上振れした。

 今19年3月期業績予想は、売上高1億5000万円(前期比57.5%減)、営業損益22億円の赤字(同15億6100万円の赤字)、経常損益22億円の赤字(同15億7300万円の赤字)、最終損益22億円の赤字(同15億7700万円の赤字)を見込む。< /div>

 株価は、1月15日の年初来高値968円から4月17日に年初来安値610円と調整その後、モミ合っている。富士フイルム株式会社からリード開発品であるペプチドワクチン「ITK-1」第Ⅲ相臨床試験の実施を受託しているが、業務量が増加していることが注目される。足元で52週移動平均線がサポートラインとして意識された感はあり、ここから突っ込む場面があれば、中長期的な視点で買い妙味が膨らみそうだ。(株式評論家・信濃川)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■AI機能強化でさらに便利に!Siriの進化とChatGPT統合で作業効率向上  Appleは3月…
  2. ■ChatGPT Enterpriseを活用し、業務効率化と新たな価値創造を推進  ふくおかフィナ…
  3. ■2024年度の美容室倒産件数、前年を大幅に上回る197件  帝国データバンクの調査によると、20…
2025年5月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

ピックアップ記事

  1. ■スタンレー電気など年初来安値銘柄の業績見通しに焦点  日経平均株価が4月に大幅下落する中、年初来…
  2. ■トランプ劇場、急転換の舞台裏!米中摩擦、FRB人事…予測不能な変幻自在  「クルマは急に止まれな…
  3. ■5大商社決算発表を前に高まる投資家の期待感  世界三大投資家の一人ウォーレン・バフェットが日本の…
  4. ■「市場の反乱」の一段落で「市場の勝利」を期待しバフェット流に商社株にバリュー株投資も一考余地  …
  5. ■株価55%高もまだ割安!?記念優待利回り10%超の注目株  10日には米国の関税発動停止を受け、…
  6. ■一喜一憂の投資家心理、トランプ関税「一時停止」の罠  まずフェイクニュースかと目と耳を疑った。次…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る