星光PMCは売られ過ぎ感、18年12月期減益予想だがCNF複合材料の商業生産本格化期待

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 星光PMC<4963>(東1)は製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業、化成品事業を展開し、次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)など新分野開拓を推進している。18年12月期減益予想だがCNF複合材料の商業生産本格化を期待したい。株価は地合い悪化の影響で年初来安値圏だが売られ過ぎ感を強めている。売り一巡して反発を期待したい。

■製紙用薬品、印刷インキ用・記録材料用樹脂、化成品を展開

 DIC<4631>の連結子会社で、製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業、化成品事業(子会社KJケミカルズ)を展開している。17年12月期売上高構成比は製紙用薬品事業63%、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業21%、化成品事業15%だった。

 高付加価値製品の拡販、中国事業の再構築、東南アジア市場への積極展開、植物由来の軽量・高強度の次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)、導電性ナノ材料(銀ナノワイヤー)、水性インキ用コア・シェル・エマルション、アミドエーテル系溶剤、光学弾性樹脂(OCA)など、成長市場・新分野における新規開発品戦略を推進している。17年3月には台湾のアクリル系工業用粘接着材メーカーである新綜工業を持分法適用関連会社化した。

 新中期経営計画「CS VISION-2」では目標数値に、会社設立50周年の18年12月期売上高272億円、営業利益22億円、営業利益率8%以上を掲げている。

■CNF複合材料の商業生産本格化期待

 次世代素材CNFは、すべての植物の植物細胞壁の骨格成分であるセルロースをナノサイズまで細かくほぐすことによって得られる繊維である。鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上強く、熱による変形が少ないなどの特徴がある。樹脂の補強材として機能させることで、自動車用樹脂の強度向上や金属部材からの置き換え、家電・モバイル機器の軽量化などでの需要が期待されている。

 18年1月には、竜ヶ崎工場にあるCNF実証生産設備(パイロットプラント)の生産能力増強工事が完了し、CNF複合材料「STARCEL」ブランドでの商業生産・製品出荷を開始した。

 18年6月には世界初のCNF強化樹脂応用製品の商品化を発表した。CNF複合材料「STARCEL」がアシックス<7936>の高機能ランニングシューズ製品のミッドソール部材の原材料の一部に採用された。商業生産の本格化を期待したい。

 また銀ナノワイヤーは、直径がナノサイズ、長さがミクロンサイズの繊維状の銀を溶液中に分散させて透明導電性電極を形成し、ウェアラブル端末や大型ディスプレイへの利用が期待されている。

■18年12月期減益予想だがCNF複合材料の商業生産本格化期待

 18年12月期の連結業績予想は、売上高が17年12月期比3.3%増の259億20百万円、営業利益が9.9%減の20億円、経常利益が13.6%減の21億30百万円、純利益が19.5%減の16億10百万円としている。国内・海外で拡販を推進して増収予想だが、原材料価格上昇、人件費や償却費等の増加で減益予想としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比5.2%増の61億65百万円で、営業利益が4.9%減の5億81百万円、経常利益が14.5%減の5億89百万円、純利益が14.2%減の4億67百万円だった。原材料価格上昇などで減益だった。売上総利益率は27.2%で2.0ポイント低下、販管費比率は17.8%で1.0ポイント低下した。営業外では持分用投資利益が減少した。

 製紙用薬品は売上高が9.6%増の40億27百万円で営業利益が4.6%減の4億13百万円、印刷インキ用・記録材料用樹脂は売上高が3.8%増の12億83百万円で営業利益が8.9%減の99百万円、化成品は主力製品の輸出減少で売上高が9.8%減の8億54百万円で営業利益が13.3%減の1億43百万円だった。

 通期のセグメント別計画は、製紙用薬品の売上高が4.8%増の166億75百万円で営業利益が3.9%減の15億94百万円、印刷インキ用・記録材料用樹脂の売上高が1.6%減の52億92百万円で営業利益が21.2%減の3億12百万円、化成品の売上高が4.2%増の39億53百万円で営業利益が7.0%減の4億63百万円としている。
 
 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高23.8%、営業利益29.1%、経常利益27.7%、純利益29.0%と順調である。通期上振れを期待したい。またCNF複合材料の商業生産本格化を期待したい。配当予想は設立50周年記念配当2円を加えて年間16円(第2四半期末8円、期末8円)としている。17年12月期比3円増配で予想配当性向は30.1%となる。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は地合い悪化の影響で水準を切り下げている。7月4日には年初来安値となる980円まで下押した。ただし売られ過ぎ感を強めている。

 7月4日の終値997円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS53円10銭で算出)は約19倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS776円56銭で算出)は約1.3倍である。時価総額は約307億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が拡大して売られ過ぎ感を強めている。売り一巡して反発を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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