【編集長の視点】昭栄薬品は反落も小幅減益業績を織り込み実質増配を手掛かりに押し目買いが交錯

昭栄薬品<3537>(JQS)は、前日15日に14円安の992円と反落して引けた。同社株は、昨年11月30日を基準日に株式分割(1株を3株に分割)を実施し、権利落ち後安値960円から上値を窺う動きを続けており、目先の利益を確定する売り物に押された。ただ、取引時間中には1001円と買われる場面があり、下値には今1019年3月期の配当が、株式分割を勘案して実質1円の増配と連続増配を予定していることを手掛かりに押し目買いも交錯した。2025年に55年ぶりに大阪万国博覧会が開催されることが決定し、同社地盤の大阪エリアで地盤改良工事向けなどの土木建設資材に関連特需が期待されることも、側面支援材料視されている。

■今期業績は小幅減益もIPMPなど戦略商品拡販で国内売り上げは早期に200億円

 同社は、株式分割後の今期配当について年間18円を予定、前期実績・期初予想の53円に対して株式分割を勘案して実質1円の増配となる。同社の配当は、2016年3月の新規株式公開(IPO)以来、2016年3月期の40円が、2017年3月期45円、2018年3月期53円と推移、今期の実質増配で、連続増配を3期と伸ばす。

 一方、今2019年3月期業績は、売り上げ207億円(前期比2.5%増)、営業利益3億1600万円(同5.3%減)、経常利益4億3600万円(同3.3%減)、純利益2億9900万円(同4.8%減)と売り上げは続伸するものの、利益は、小幅減益転換すると予想している。売り上げは、化学品事業での香粧品分野の新規取引先開拓、日用品事業での新アイテムの提案、インターネット販売開始によるオリジナル商品の販売チャンネル拡大、土木建設資材事業での環境改善工事向け薬剤の好調な受注などで続伸する。利益は、一部原材料の価格変動の影響で利益率が低下し、人件費増、物流コストの上昇なども重なって伸び悩む。

 ただ同社は、2月8日に今3月期第3四半期(2018年4月~12月期、3Q)決算の発表を予定しており、前期は、この3Qの高利益率業績をベースに前期業績の上方修正と増配を発表しており、今期もこの3Q決算の動向が要注目となる。また、業績の早期達成目標として国内売り上げ200億円を掲げて化学品事業で集中型市場深耕モデルを推進しており、新殺菌剤「イソプロピルメチルフェノール(IPMP)」などの戦略商品を拡大させており、来2020年3月期の業績にも期待が高まる。

■PER・PBR・配当利回りとも市場平均を下回り25日線水準の三角保ち合いを上放れ

 株価は、株式分割と実質連続増配発表を歓迎して3500円の戻り高値まで買い進まれ、3450円で株式分割の権利を落とした。権利落ち後は、理論価格を上回る1176円をつける場面もあったが、全般急落相場に巻き込まれて落ち後安値960円まで調整、足元では、25日移動平均線水準の1000円大台を出没、三角保ち合いに煮詰まり感を強めている。PERは11倍台、PBRは0.4倍、配当利回りは1.81%とジャスダック市場平均を下回って割安であり、三角保ち合いを上放れ権利落ち高値奪回を一通過点にまず昨年来高値3900円の権利落ち理論価格1300円を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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