【編集長の視点】アイリックは反落も2Q上ぶれ着地業績、2期ぶり通期最高純益を手掛かりに直近IPO株買いが継続

 アイリックコーポレーション<7325>(東マ)は、前日13日に30円安の3060円と3日ぶりに反落して引けた。前々日の12日に3145円まで買われ今年3月7日につけた上場来高値3165円に肉薄しており、前日に日経平均株価が一時、300円超安と3日ぶりに反落したことから同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ取引時間中には下ヒゲで3000円を確認して下げ渋る動きもみせた。下値には、昨年12月14日に上方修正した今2019年6月期第2四半期(2018年7月~12月期、2Q)累計業績が、今年2月13日の発表時にはその上方修正値を上ぶれ着地し、今期6月期通期純利益が2期ぶりに過去最高更新を予想されていることを手掛かりに直近IPO(新規株式公開)株買いが交錯した。今年2月20日には上場記念で導入した株主優待制度の抽選を実施したことも追撃材料視されている。


■「保険クリニック」の店舗数が増加し集客数、成約率、成約単価もアップ

 同社の今期2Q累計業績は、昨年9月25日のIPO時の予想業績を昨年12月14日の上方修正したが、その修正値より売り上げが2400万円、営業利益が4900万円、経常利益が4800万円、純利益が2500万円それぞれ上ぶれ、売り上げ17億5900万円、営業利益2億2400万円、経常利益2億200万円、純利益1億2100万円となった。保険販売事業の販売が好調に推移しており、来店型の保険ショップ「保険クリニック」の直営店が、前期末に比べて3店舗増加して34店舗となり、集客数が、5148人と前年同期より227人増加、直営店の成約率が、前年同期の51.5%から54.2%に高まり、1件当たりの成約単価も前年同期の11万円から18万3000円に高まったことなどが要因となった。なおソリューション事業のFC店舗も前期末の148店舗から153店舗に増加し、全国展開に拍車をかけた。

 今2019年6月期通期業績は、IPO時予想を据え置き売り上げ35億8400万円(前期比15.9%増)、営業利益4億4400万円(同66.6%増)、経常利益4億4100万円(同75.7%増)、純利益3億600万円(同75.4%増)と高成長を見込み、純利益は2期ぶりに過去最高(1億8600万円)を大幅に更新する。保険業界で唯一のワンストップ型の保険分析・検索システム「保険IQシステム」を自社開発し、同システムを活用する来店型保険ショップ「保険クリニック」を全国展開するビジネス・モデルが高成長要因となっており、昨年10月からAI(人工知能)のディープラーニング(深層学習)により紙帳票類の文字情報をデータに変換する「スマートOCRクラウドサービス」の販売を開始したことなども、働き方改革の業務自動化関連需要を喚起して寄与する。

 なお上場記念の株主優待制度は、昨年12月31日を基準日に10万円相当のJTB旅行券を抽選で30名の株主に贈呈するもので、今年2月20日に抽選を終わり、当選株主に発送した。

■上場来安値から86%高しIPO以来の下落幅の倍返しも想定範囲内

 株価は、昨年9月25日に公開価格1770円でIPOされ2226円で初値をつけ2335円高値まで買い進まれる人気となったが、その後の東証マザーズ市場の人気離散とともに1759円まで下値を探り、株主優待制度発表、今期2Q業績の上方修正で1969円までリバウンドしたが、全般相場の急落が波及して公開価格を割る上場来安値1700円へ突っ込んだ。同安値からは、売られ過ぎ修正に2Q業績の上ぶれ着地も加わって底上げ、IPO時高値を上抜いたことから上値のシコリ解消として上昇に拍車を掛け上場来高値まで1465円高、86%高とIPO以来の下落幅を上回る上昇となった。なお上値チャレンジが続き、IOP以来の調整幅の倍返し3605円を目指す展開も想定範囲内となる。(本紙編集長・浅妻昭治)

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