【編集長の視点】ジーニーは小幅続落も最先端の実証実験結果を手掛かりに中期経営計画に見直し余地

 ジーニー<6562>(東マ)は、前日24日に2円安の574円と小幅続落して引けた。ただ、取引時間中には586円まで買われる場面があり、25日移動平均線水準での三角保ち合いに煮詰まり感を強めた。今年6月28日に同時に公表された中期経営計画とコラボス<3908>(東マ)と協力して推進した広告効果の向上を図る実証実験の結果を手掛かりに、最先端のアドテック(広告技術)が、中期計画で目標としている業績高成長のエンジンになると見直され値ごろ株買いが交錯した。今年8月9日に発表が予定されている今2020年3月期第1四半期(2019年4月~6月期、1Q)決算の動向も、注目されている。
■アナログデータとデジタルデータを統合しクリック率は2倍以上に向上

 コラボスの実証実験は、コールセンターに蓄積された「顧客の生の声(アナログデータ)」とWebサイトやメールなどに集積されている情報(デジタルデータ)をジーニーのマーケティングオートメーションプラットフォーム「MAJIN」により統合し、グローバルウェイ<3936>(東マ)が運営する法人向けの転職・求人サイト「キャリコネ転職」上で広告効果の向上を図る目的で実施された。実証実験は、従来の広告配信に比べてクリック率が2倍以上、費用対効果を測るクリック単価は30%以上抑制する結果となり、新たな技術可能性を示した。

 同社は、国内で唯一、自前でアドテクノロジーによりインターネット広告システムを開発できる企業で、この日本発のテクノロジーカンパニーとして持続的な成長と中長期的な企業価値を向上させる中期経営計画を推進しており、最終年度の2022年3月期に売り上げを250億円、売上総利益を60億円、営業利益と減価償却費、のれん償却費を合算したEBITDAを30億円超に高成長させることを業績目標値として設定している。事業領域をアドテクノロジー領域からマーケティングテクノロジー領域へ、提供領域も国内からシンガポール、ベトナム、インドネシア、タイ、インドと拡大させる成長戦略を推進することが中心になるもので、今回の実証実験は、この目標業績達成を強力にサポートすることになると期待される。

 一方、今2020年3月期業績は、売り上げ155億7200万円(前期比4.1%増)、営業利益2300万円(前期は3億1000万円の赤字)、経常利益700万円(同3億3000万円の赤字)、純利益3900万円の赤字(同5億4400万円の赤字)と連続増収・黒字転換が予想されており、会計特性上、業績は下期偏重型となるが、8月9日に発表予定の今期1Q業績が、どの程度の進捗率を示すか注目されている。

■再三のストップ高示現の急騰特性を発揮して直近高値665円を通過点に年初来高値に再挑戦

 株価は、今年3月に2日連続のストップ高でつけた年初来高値831円から、再三再四にわたる世界同時株安にツレ安して491円安値まで調整したが、6月26日に発表したByteDance社(東京都新宿区)が、新規提供するモバイルアプリ向け広告配信システム「TikTok Audience Network」との連携開始を歓迎して再びストップ高し665円高値まで買い戻された。足元では、このスピード調整で25日移動平均線を出没する下値固めを継続、三角保ち合いに煮詰まり感を強めている。急騰特性の再現期待を強め、ストップ高でつけた直近高値の665円を一通過点に年初来高値831円奪回に再チャレンジしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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