【編集長の視点】キャリアは単独業績下方修正を織り込み早期表面化のM&A効果を先取りして反発

 キャリア<6198>(東マ)は、10連休直前の4月26日に7円高の640円と4日ぶりに反発して引け、今年2月19日につけた年初来安値550円からの底上げ幅を拡大させた。同社株は、連休明け後の5月14日に今2019年9月期第2四半期(2018年10月~2019年3月期、2Q)累計決算の発表を予定しており、2Q単独業績は、経営体制の変更、新経営戦略の策定・実施のために期初予想から下方修正された。ただその経営体制変更では、キューボグループ(東京都新宿区)を完全子会社化し初の連結決算となり、2Qからシニアケア事業にM&A効果が表面化し、来期以降には本格的な利益貢献が見込めるとして下げ過ぎ訂正が再燃した。テクニカル的にも26日の急反発で上昇転換を示唆する陽線包み足を示現しており、10連休明け後のリバウンド幅拡大をサポートするとみられている。


――――2Q売り上げは早くもM&Aで18.6%増と成長して来期からフル寄与で利益貢献――――

 キューボグループは、子会社4社を擁しキャリアと同様のシニアケア事業を展開、2018年11月の設立以来、業績拡大を続けており、キャリアは、業績拡大や必要な人材を確保できるとして今年1月16日を効力発生日に株式交換方式で同グループ各社を完全子会社した。単独業績は、この経営体制の変更のほか、シニアケア事業の大幅な従業員の採用強化のための採用費・人件費・教育費や派遣スタッフ獲得強化のための広告宣伝費の増加が重なって下方修正され、今9月期通期純利益は、期初予想の2億9500万円から1億6000万円(前期比55.6%減)へ引き下げられた。

 ただこのM&A効果は、キャリアのシニアケア事業にすでに今期2Qから表面化、2Q売り上げは、前年同期比18.6%増とM&A効果がない場合の2.3%増を大きく上ぶれ、同様に第3四半期はそれぞれ35.7%増と18.0%増、第4四半期も48.6%増と30.1%増と売り上げ成長率を伸ばす。来期業績からフル寄与し利益貢献が期待される。

 なお初の連結決算となる今期2Q累計業績は、売り上げ53億円、営業利益1億2000万円、経常利益1億3000万円、純利益7000万円、9月期通期業績は、売り上げ115億円、営業利益2億7000万円、経常利益2億7000万円、純利益1億6000万円と見込んでいる。

――――25日線出没場面で陽線包み足を示現して上昇転換しリバウンド幅拡大――――

 株価は、キューボとの株式取得の基本合意で1758円をつけ、今9月期予想業績が市場コンセンサスを下回り世界同時株安も重なって555円まで大きく調整、売られ過ぎとして780円までリバウンドしたが、今期第1四半期業績が、市場コンセンサスを下回ったことで再び550円まで再調整、ダブル底形成となった。同ダブル底からM&A効果の早期表面化を手掛かりに721円までリバンド、足元では25日移動平均線を出没、10連休前に買い優勢で上昇トレンド転換を示唆する陽線包み足を示現した。今年4月の戻り高値721円抜けから年初来高値818円奪回とリバウンド幅を拡大させよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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