【編集長の視点】イトーキは「テレワーク・デイズ」需要取り込み期待に2Q業績先取りがオンして続伸

 イトーキ<7972>(東1)は、前日8日に2円高の425円と続伸して引けた。「テレワーク・デイズ2019」の後半の集中実施日(8月19日~8月30日)を前に同社が新発売した在宅勤務用のワークデスク・チェアを見直し「働き方改革」関連株買いが増勢となった。また8日に発表予定の今2019年12月期第2四半期(2019年1月~6月期、2Q)累計決算を先取りする動きも交錯しており、実際に大引け後に発表した2Q業績は、今年5月13日に発表した今期第1四半期(2019年1月~3月期、1Q)業績と同様に増収減益となったが、12月期通期予想業績に対して高利益進捗率を示した。

■在宅勤務向けワークデスク、チェアなどを続々と発売し「働き方改革」需要を享受

 「テレワーク・デイズ2019」は、来年7月24日に開会式を予定している「2020年東京オリンピック・パラリンピック」を前にした本番テストとして今年7月22日から約1カ月間にわたり実施され、参加団体は3000団体、参加人数は延べ60万人を計画しており、都心部の交通渋滞を解消するためにサテライトオフィスや在宅でのテレワークがこのための目玉対応策となっている。

 同社は、今年7月4日に鎌倉市役所、東京大学、地域住民が協働している産官学民プロジェクト「鎌倉リビング・ラボ」と在宅勤務に適した折り畳み式ワークデスク「ONOFF(オノフ)」の開発・発売を発表した。「働き方改革」のテレワーク用に折り畳むと厚さが約24センチメートルと収納場所を取らず、この際に蓋となる扉の部分が使用時に壁の役割を果たして仕事に集中しやすい個室空間を構築することを可能とする。同社は、すでにテレワーク用のチェア「SALIDA(サリダ)YL9」も発売しており、今後は、このシリーズ商品を「しごとLab」として拡充させる。「働き方改革」のワーキングショールーム機能を持つ東京の新事務所「TOKYO XORK」でのアピールを推進し、関連需要の取り込みを図る。

 一方、同社の 今2019年12月期2Q業績は、前年同期比5.1%増収、12.3%営業減益、16.4%経常減益、43.9%純益減益となったが、12月期通期業績に対する利益進捗率は、56%~64%と目安の50%を上回った。本社オフィス移転による家賃負担増や新規事業開始に伴う設備投資・人材採用費用が増加したが、「TOKYO XORK」による商談創出、新製品の開発・販売などが寄与した。今12月期通期業績は、期初予想に変更はなく売り上げ1230億円(前期比3.6%増)、営業利益31億円(同60.8%増)、経常利益30億円(同26.7%増)、純利益17億円(同1.5%減)と見込み、純利益は、前期計上の固定資産売却益が一巡して小幅減益転換するが、営業利益、経常利益はV字回復する。

■PER11倍台、PBR0.44倍と売られ過ぎは歴然で年初来高値奪回に再発進

 株価は、今年2月の年初来高値638円から何回も繰り返した世界同時株安が響いて年初来安値391円まで調整し、同安値は売られ過ぎとして484円の戻り高値までリバウンド、年初来高値から同安値への調整幅の3分の1戻し水準をクリアした。足元では、米国の中国への制裁関税第4弾発動で世界同時株安が再燃し、下値を確認する動きとなっているが、PERは11倍台、PBRは0.41倍、配当利回りは3.05%と売られ過ぎが歴然となっている。割り負けディフェンシブ株買いを再燃させ戻り高値抜けから、年初来高値からの調整幅の半値戻し514円を奪回し、年初来高値を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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