【編集長の視点】イグニスは小反落も「with」と「INSPIX」の相乗効果で業績期待を高め下値買いが交錯

 イグニス<3689>(東マ)は、前日2日に1円安の1071円と3営業日ぶりに小反落して引けた。同社株は、8月15日に突っ込んだ年初来安値974円から底上げ途上にあり、この日の日経平均株価が84円安と反落したことから、同社株も目先の利益を確定する売り物に押された。ただ寄り付き段階では、1092円高値まで買い進まれる場面があり、依然として同社の積み上げ型の恋愛・婚活マッチングサービス「with」と、今年8月13日にリリースしたバーチャルライブアプリ「INSPIX」の相乗効果で、来2020年9月期以降の業績が大きく伸びるとの期待を背景に、大きく下げた株ほど良く戻るとする「リターン・リバーサル」買いが交錯した。また、今2019年9月期の期末決算月に入ったことから、投資有価証券の売却益の寄与で純利益が、会社予想を上回ってV字回復すると東洋経済会社四季報最新号で観測されていることも思惑を呼んでいる。

■今期純利益は投資有価証券売却益で上ぶれ、来期業績も大幅続伸の観測

 同社は、「with」を展開するコミュニティ事業と、主力タイトル「ぼくとドラゴン」などを配信するゲーム事業を経営の二本柱としてきたが、新規事業としてVR(仮想現実)やAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などの最先端技術を商業化するVR・エンタメ事業にチャレンジして経営資源を投入、早期収益化を目指してきた。8月13日に子会社のパルス(東京都渋谷区)が、AppStoreとGooglePlayでリリースした「INSPIX」は、誰もが自宅にいながら音楽ライブやバーチャル握手会に参加し出演アーティストとリアルタイムコミュニケーションが取れる革新的なサービスで、ネット上では新たなバーチャルタレントへの期待も高めている。一部国内証券では、積み上げ型の「with」と爆発力のある「INSPIX」の相乗効果で来期以降の業績に期待できるとして投資判断を「買い」に据え置くリポートを作成、話題を呼んでいる。

 今2019年9月期業績は、売り上げ60億円(前期比23.1%増)、営業利益3000万円(前期は25億3200万円の赤字)、経常利益1000万円(同25億7100万円の赤字)、純利益500万円(同26億5100万円の赤字)と小幅ながら黒字転換を見込んでいる。「with」のユーザー数が、今年6月末に200万人を突破し収益貢献度を高めているが、VR・エンタメ事業の先行投資拡大や人材採用費用の増加などがなお利益圧迫要因となる。

 ただ同社は、今年5月に資産の効率化と財務体質の強化のために投資有価証券の売却、特別利益の計上を発表しており、東洋経済会社四季報最新号では、今期純利益を5億円と観測している。また来2020年9月期業績についても、純利益は特別利益一巡で4億2000万円と減益としているが、営業利益、経常利益は各6億円と大幅続伸と観測している。 

■国内証券の強気投資判断も支えに急落時の窓埋めから年初来高値を目指す

 株価は、今年8月9日に発表した今期第3四半期(2018年10月~2019年6月期)業績が、連続赤字で着地したことが響いてストップ安、年初来安値974円に突っ込み、「INSPIX」のリリースを手掛かりに急反発、国内証券の強気な投資判断継続も加わって1000円大台を回復した。25日移動平均線からは、なお9%超のマイナスかい離となお売られ過ぎで「リターン・リバーサル」妙味を示唆しており、まず急落前の1370円奪回の窓埋めから7月25日につけた年初来高値1588円を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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