【編集長の視点】日タングステンは小幅続落も25日線で下げ渋り下値に売られ過ぎ訂正買いが継続

 日本タングステン<6998>(東2・福証)は、前日4日に11円安の1992円と小幅続落して引けた。全般市場の方向感が、米中貿易摩擦の激化懸念で不透明ななか、8月6日に突っ込んだ年初来安値1860円から200円幅の底上げをしている同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ25日移動平均線を前に下げ渋っており、下値には依然として今年8月8日に発表した今2020年3月期第1四半期(2019年4月~6月期、1Q)業績が、減益転換して着地したことは織り込み済みとして売られ過ぎ訂正買いが継続した。テクニカル的にもこの底上げで5日移動平均線が、25日移動平均線を下から上に抜くミニ・ゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆したことも、サポート材料視されている。

■NTダイカッターで世界トップを目指すなど積極中期計画を推進

 同社の今期1Q業績は、前年同期比10.1%減収、53.3%営業減益、44.7%経常減益、50.9%純益減益と減収減益転換した。米中貿易摩擦の激化や中国経済の減速の影響が、半導体や電子部品の需要伸び悩みとして顕在化したほか、EV(電気自動車)用接点部品の生産能力増強などの設備投資負担も重なったことが要因となった。減益転換率は、前年同期の営業利益が、前々同期比2.4倍と大きく伸びただけにその分だけ大きくなった。

 今3月期通期業績は、期初予想に変更はなく売り上げ124億円(前期比2.0%減)、営業利益8億2000万円(同20.4%減)、経常利益10億1000万円(同8.6%減)、純利益7億4000万円(同11.0%減)とやはり減収減益転換を見込んでいる。今年10月の消費税増税、米中貿易摩擦による世界経済の下ぶれリスクなどを考慮して慎重に見通したものだが、このなかでも現在推進中の中期経営計画に基づき成長投資は積極継続する。アジア・シェアが39%でトップ、北米/南米・シェアが28%と2位に位置するNTダイカッターでは、高成長を続ける紙おむつ市場向けなどを中心に世界トップを目指してテストライン装置の増強やブラジル子会社を設立して一段とグローバル化を進め、EV用接点部品の生産能力の増強などを続けているもので、最終年度の2021年3月期には、売り上げ142億円、営業利益12億円を目標業績としている。

■ミニGCで上昇トレンド転換を示唆しPER6倍、PBR0.4倍の割安修正加速

 株価は、米中貿易摩擦激化で日経平均株価が、フシ目の2万1000円台を割ったことにツレ安して年初来安値1860円へ調整し、1992円と小戻し、今期1Q業績の減益減収転換が響いて再び下値を探ったが、年初来安値直前の25日移動平均線水準で踏み止まり、売られ過ぎとして2000円大台を出没している。この間、5日線が25日線を上抜くミニGCを示現して上昇トレンド転換を示唆している。PERは6倍台、PBRは0.48倍、配当利回りは4.26%となお売られ過ぎ水準にあり、年初来高値2548円を目指して一段の戻りを加速させよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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