【2020年新春相場展望】株式相場は世界的な政策期待を背景に高値圏で堅調な展開に

【シニアアナリスト・水田雅展】

 2020年の株式相場は、緊張が高まってきた米・イラン関係など地政学リスクが波乱要因となるが、全体としては米大統領選挙、米中貿易協議の第2段階の動向、米FRBの金融政策などが焦点となり、世界的に政策期待を背景として高値圏で堅調な展開となりそうだ。

■NYダウ平均株価は3万ドル台乗せの可能性

 2020年は米大統領選、米中貿易協議の第2段階の動向、米FRBの金融政策などが焦点となる。

 米大統領選については、トランプ大統領の弾劾裁判が当面の懸念材料となるが、上院で共和党が多数を占めているため、罷免の可能性は低いとみられている。そして米国の景気拡大局面が史上最長を更新していること、大統領選に向けてさまざまな経済政策が打ち出されること、民主党の大統領候補者にトランプ大統領を凌ぐインパクトが欠けることなどを考慮すれば、トランプ大統領の再選の可能性が高いとみられている。トランプ大統領再選の見方が強まれば、株式相場にとって安心感につながるだろう。

 米中貿易協議に関しては、新冷戦とも呼ばれるIT覇権争いが背景にあるため全面的解決は容易ではないが、19年12月に第1段階の合意が発表され、20年1月中に署名される見通しとなっている。第2段階の協議については不明だが、第1段階の合意で当面の追加関税・報復関税の発動が見送られ、さらに段階的な関税引き下げが実現すれば、世界経済にプラス効果が期待され、株式市場にとって安心感が広がるだろう。

 緊張が高まってきた米・イラン関係など地政学リスクが波乱要因となり、米FRBの金融政策や、英国のブレグジット(EU離脱)の影響などにも注意が必要だが、世界的に政策期待を背景として堅調な推移が予想され、NYダウ平均株価は3万ドル台に乗せる可能性が高いだろう。

■日本株は安倍政権の動向に注意

 日本株に関しては、20年度の企業業績回復に対する期待感もあり、基本的には米国株に連動する形で堅調な展開が予想される。ただし安倍政権の動向、東京オリンピック後の景気動向などに注意が必要となる。

 12年12月の安倍政権誕生に伴うアベノミクス相場も8年目に入った。自民党総裁としての人気は21年9月だが、自民党規約を改正して4選を目指すのか、桜を見る会やIR疑獄の問題が逆風となり、任期満了による退陣、あるいは任期前の退陣があるのかが注目点となる。4選に向かえば安心感が継続するが、支持率低下で4選断念・レームダック化すれば、後継候補者への期待感が高まっていない状況であり、政権運営に対する安心感が大きく後退する可能性が高まる。

 米中貿易協議の影響、東京オリンピック後の景気動向に加えて、安倍政権の動向が日本株にとってのリスク要因となりそうだ。また現実味が薄いものの、日本株を需給面で支えてきた日銀のETF買いの動向にも注意しておきたい。

■次の成長株を発掘する好機

 銘柄選択に関する中長期テーマとしては、進化が加速するAI関連、IoT関連、次世代通信規格5G関連、AI・IOT・5Gを活用するロボット・自動運転関連、サイバーセキュリティ関連、バイオ・再生医療関連など、2020年代に向けた新技術関連が本命となる。

 働き方改革や生産性向上をテーマとするソフトウェア・システム開発関連、東京オリンピック後の景気対策とも位置付けられる防災・減災・国土強靭化関連なども注目テーマだろう。

 またテーマ関連でなくても、独自のビジネスモデルを展開し、為替や海外景気の影響を受けにくい内需サービス関連の好業績中小型株にも注目しておきたい。次の成長株を発掘する好機だろう。(日本インタビュ新聞社 シニアアナリスト・水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■コロナ禍前比2割減、運転手確保が喫緊の課題に  2024年、タクシー業界は深刻な危機に直面してい…
  2. ■前月比19.7ポイント増、昨年同期比でも11.6ポイント増と大幅上昇  学情<2301>(東証プ…
  3. ■生成AI人材が最注目、年収1,000万円超えも  ビジョナル<4194>(東証プライム)グループ…
2025年2月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
2425262728  

ピックアップ記事

  1. ■決算発表を控えた金関連株、消去法で選好される可能性も  米国の10年物国債利回りが一時上昇したも…
  2. ■米国第一主義の行方と市場の動揺、金価格は史上最高値へ  石破茂首相と穏かに共同記者会見をするトラ…
  3. ■業務効率化や生産性向上で目覚ましい成果  生成AIの導入が、日本の大手企業で加速している。パナソ…
  4. ■個人利用率わずか9%、中国の6分の1以下という現実  日本のデジタル化の遅れが、生成AI分野でも…
  5. ■不動産株投資、代替投資としての可能性に注目  新型コロナ感染症のパンデミック時にリモートワーク需…
  6. ■ムゲンエステート、ミガロホールディングスなど高値更新―富裕層のオルタナティブ投資が牽引  昔から…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る