【編集長の視点】クレスコは昨年来高値を更新、株式分割の権利取りを連続過去最高業績がサポート

クレスコ<4674>(東1)は、前日16日に60円高の3960円と反発して引け、取引時間中には4080円まで買い進まれ昨年7月18日につけた昨年来高値3940円をおよそ6カ月ぶりに更新した。同社株は、今年1月7日に株式分割を発表しており、基準日の1月31日を前に権利取りの買い物が再燃した。また、今年1月30日には今2020年3月期第3四半期(2019年4月~12月期、3Q)決算の発表を予定しており、今期第2四半期(2019年4月~9月期、2Q)業績が、期初予想を上ぶれて過去最高となっただけに、業績上ぶれ期待を高めサポート材料視されている。

■今期の年間72円への連続増配幅の拡大に続く株主優遇策

 株式分割は、同社株式の投資単位当たりの金額を引き下げ、投資家層の拡大と市場流動性を向上させる目的で実施するもので、1月31日を基準日に1株を2株に分割する。同社は、今期配当を年間72円(前期実績66円)と予定し、連続増配幅を拡大させておりこれに続く株主優遇策となる。なお今期配当は、中間配当は36円として実施したが、期末配当は、株式分割のため18円に修正し、実質年間配当は72円となる。

 一方、昨年11月6日に発表された今期2Q業績は、期初予想より売り上げが7億5600万円、利益が2200万円~2億2600万円それぞれ上ぶれ、前年同期比12.8%増収、22.8%営業増益、10.2%経常増益、5.8%純益増益で着地し、営業利益は、2Q業績として2期ぶりに過去最高を更新した。「第4次産業革命」や「働き方改革」、「労働力不足」に対応して幅広い企業がIT投資を積極化させており、ソフトウェア開発事業が、連続の2ケタ増収増益となり、組込型ソフトウェア開発事業でもカーエレクトロニクス分野や情報家電向けが好調に推移し同じく連続の2ケタ増収増益となったことが寄与した。この好決算に伴い、今期配当を期初予想の年間68円から72円に増配した。

 今2020年3月期通期業績は、2Q累計業績の上ぶれ着地にもかかわらず期初予想を変更せず、売り上げ378億8000万円(前期比7.5%増)、営業利益34億円(同6.0%増)、経常利益38億1300万円(同4.2%増)、純利益24億1600万円(同5.7%増)と見込んでいる。これでも10期連続の増収増益で、過去最高業績を更新するが、業績上ぶれ期待を高め、今年1月30日発表予定の今期3Q決算への期待を高めている。

■権利取りでボックス上限を上抜き2018年1月高値4875円を意識

 株価は、昨年7月に同社開発の疾病分類手法に米国特許が成立したことで昨年来高値3940円まで買われ、その後の全般相場の不透明化とともに、3200円台を下値とする300円幅のボックス相場が続き、株式分割発表とともに窓を開けてボックス上限を上抜き昨年来高値を更新した。株式分割の権利取りで上値にチャレンジ、2018年1月高値4875円が次の上値フシとして意識されよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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