【編集長の視点】キュービーネットHDは上場来安値から急反発、月次売上高連続プラスに配当期待が加わり直近IPO株買いが再燃

 キュービーネットホールディングス<6571>(東1)は、前日8日に58円高の1934円と11営業日ぶりに急反発して引け、今年5月7日につけた上場来安値1865円からの底上げを鮮明化した。同社株は、今年3月23日に東証第1部に直接上場(IPO)されたばかりで、5月7日に開示した今年4月の月次国内売上高が、今6月期の期初以来、10カ月連続して前年同月を上回ったことを手掛かりに底値買いが再燃した。また、今年5月15日にはIPO後の初決算となる今2018年6月期第3四半期(2017年7月~2018年3月期、3Q)業績の発表を予定しており、IPO時には未定としていた期末配当を公表するとの期待も底流しており、直近IPO株買いをサポートしている。IPO市場そのものも、大型連休から5月31日までIPOが一時休止となる端境期となることも、同社独自のビジネスモデルを見直し売られ過ぎ訂正買いを増幅すると期待されている。

■連結配当性向20%を目標に今6月期の期末配当は実施意向

 同社の月次の国内売上高は、期初の昨年7月以来、前年同月を上回るプラスを続け、今年4月も全店では前年同月比2.4%増、既存店では0.1%増となり、10カ月間の累計では同じく前年比5.5%増、2.9増と好調に推移した。1000円でヘアカットをする専門店チェーン「QB HOUSE」を昨年12月末現在で国内で544店舗、海外で120店舗展開し、2017年の年間来客数が2000万人を超える圧倒的な実力を誇っており、前期に国内で新規出店した39店舗が今期にフル寄与しているほか、今期の新規出店も28店舗を計画し、IPO時にはこのうち15店舗がオープンし営業開始したことなどが後押しをした。

 一方、同社の今6月期の配当は、IPO時に実施を予定しているが、具体的な配当金額は未定とし、決定次第に公表するとした。ただ配当方針としては、連結配当性向20%を目標に掲げており、今期3Q決算発表時に今6月期通期業績の方向性が明らかになってくることから、配当金額が決定されるとの期待を高めている。

 その配当実施のベースとなる今6月通期業績は、売り上げ190億9000万円(前期比6.2%増)、営業利益17億1400万円(同14.1%増)、経常利益16億3100万円(同15.0%増)、純利益11億円(同7.5%増)と続伸が予想されている。IPOと同時に開示された今6月期第2四半期(2017年7月~12月期)累計業績の利益進捗率が、今期通期業績に対して54%と目安の50%を上回って着地しており、新規出店費用や理美容師の確保や教育研修のための経費増加などをカバーすることが要因となる。

■初値割れの売られ過ぎ水準で「小さく産んで大きく育てる」IPO株の投資鉄則に点火

 株価は、2250円を公開価格にIPOされ、IPO人気が相対的に低調な東証第1部への直接上場株として資金吸収額も200億円超となることが敬遠され、公開価格を下回る2115円で初値をつけ、今年4月3日に開示されたと今年3月の月次売上高の連続プラスに反応して上場来高値2266円まで買い直されたが、4月中旬以降のIPOラッシュのなか乗り換えの売り物も出て下値を探り上場来安値1865円へ調整、初値割れは売られ過ぎとして底上げに転じた。IPO株投資の鉄則の「小さく産んで大きく育てる」が点火したもので、この絶好のチャンスとなろう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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