クレスコの前3月期は新型コロナや五輪延期の影響を受けたが連続最高益を更新

■純利益は世界株安も影響したが6%増加、売上高は12%増加

 クレスコ<4674>(東1)の2020年3月期・連結決算(5月8日夕方発表)は、IT投資を後押してきた東京オリンピックが延期になるなど、第4四半期に入り新型コロナウイルス流行の影響を色濃く受ける展開になったが、新規顧客の開拓、先端技術(AI・クラウド等)を取り込んだ新規事業・サービスの開発に注力したことなどにより、売上高は前期比11.7%増加して393.37億円となり連続最高を更新した。

■品質管理など重視しAI・クラウドなどの新サービスを拡大

 収益面では、やはり新型コロナウイルス流行の影響を受け、これに起因する世界同時株安は営業外収益などの低下をもたらしたが、営業利益は同10.9%増加して35.56億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は同じく5.9%増加して24.21億円と、ともに連続最高を更新することができた。

■開発体制はニアショア、オフショア両面で拡充しベトナムが本格稼働

 ソフトウェア開発事業では、金融分野、公共サービス分野、流通・その他の分野ともに売上高・分野別利益が前期実績を上回った。また、組込型ソフトウェア開発事業では、通信システム分野、カーエレクトロニクス分野、情報家電等その他組込型分野ともに売上高・分野別利益が前期実績を上回った。

 この期の主な取り組みとして、経営方針に則り、品質管理体制およびプロジェクト監査の強化をはじめ、市場の変化に即した顧客ポートフォリオおよび事業体制の見直しを図るとともに、AI・クラウド等による新規事業・サービスの開発に注力。適正な受注量の確保と顧客満足度の更なる向上に努めた。

 また、ニアショア、オフショア両面での開発体制の拡充を進め、10月にはクレスコベトナムが営業を開始した。

■今期は慎重予想だがAI・IoT、テレワーク拡大は強まると想定

 今期・20201年3月期は、新型コロナウイルス禍に起因するIT投資の抑制については精緻に把握することが困難なため、上期の落ち込みを下期にカバーするまでには至らない可能性があるとして、連結業績見通しは、売上高を400億円(20年3月期比1.7%増)、営業利益を34.0億円(同4.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は24.5億円(同1.2%増)とし、1株利益は116円72銭とした。

 ただ、企業の競争力と成長力を強化するための「第4次産業革命(AIやIoTを用いることで起こる製造業の更なる自動化)」、「働き方改革(業務効率化、テレワーク導入など)」への取り組みなどは、構造的には変化せず、中期的には拡大すると予測している。(HC)

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