【編集長の視点】ピーバンは小反落も純益V字回復予想にリモート関連株買いが交錯し下げ渋る

ピーバンドットコム<3559>(東1)は、前日9日に1円安の1011円と小反落して引けた。日経平均株価が、7営業日ぶりに87円安と反落したことから、今年3月13日の年初来安値649円から大幅に底上げしている同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ1000円大台を前に下げ渋り、三角保ち合いに煮詰まり感を強めた。今2021年3月期業績が、増益転換と予想され、さらにプリント基板のECサイト「P板.com」の企画・開発・製作・販売事業のワンストップ・ソリューショ化が、新型コロナウイルス感染症の拡大からリモート需要を拡大させ、新規ユーザー登録数の増加期待を高めるネット関連株買いも上乗せとなった。テクニカル的にも、25日移動平均線が75日移動平均線を上抜くゴールデンクロス(GC)を示現し上昇トレンド入りしたとしてサポート材料視されている。

■成長戦略効果の5G向け次世代基板などが今期業績を押し上げ

 同社の今2021年3月期業績は、売り上げ21億7300万円(前期比1.9%増)、営業利益2億5000万円(同1.6%増)、経常利益2億5500万円(同10.2%増)、純利益1億7500万円(同57.0%増)と予想され、売り上げは続伸するとともに利益は増益転換し、とくに純利益はV字回復となる。前期業績は、成長戦略としてシステム投資や専門人員の強化、新オフィスへの移転、次世代基板やサービスのラインアップ拡充などへ積極投資し、この負担増が前々期の過去最高業績からの減益要因となった。とくに純利益は、スイスのSwissmic社と共同開発していた新システム導入が、新型コロナウイルス感染症による世界経済の減速で困難になる可能性があるとして減損損失9600万円を計上して減益転換率を悪化させた。

 しかし前期に推進した成長戦略は、5G(第5世代通信システム)の実用化に対応したメタル放熱基板や高多層基板の開発などのラインアップの充実につながり、サービス展開でも「部品調達サービスAI見積」のリリース、業務効率化の自動受注システム「AIチャットボットサービス」の提供、企画・開発・販売から製作も行うIoTに特化したEMS(電子部品の一括受注製管)事業の開始などとして早くも今期業績に寄与してくる。

■GC示現で上昇トレンド転換しまず分割落ち後調整幅の半値戻しが速い

 株価は、株式分割(1株を2株に分割、基準日2019年9月30日)の権利落ち後安値630円から昨年12月27日の東証第1部への市場変更で1839円まで2.9倍化したが、年明け後は新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)による世界同時株安に巻き込まれて649円安値まで調整、今期業績の増益転換予想と自己株式取得発表を好感して調整幅の3分の1戻しの1071円までリバウンド、1000円大台を固める三角保ち合いを続けてきた。この間、25日線と75日線が交差するGCを示現して上昇トレンド転換を示唆しており、まず調整幅の半値戻しの1244円を奪回し全値戻しを目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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