【注目銘柄】新日本科学は小幅続落も1Q高利益進捗率業績を手掛かりに下値に割安株買い

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 新日本科学<2395>(東1)は、前日12日に2円安の683円と小幅続落して引けた。バイオ株やネット株中心の東証マザーズ指数が、続落し全般相場に逆行安となったことから、年初来高値圏の700円台でもみ合っている同社株にも目先の利益確定売りが増勢となった。ただ下値には3連休前の7日に発表した今2021年3月期第1四半期(2020年4月~6月期、1Q)決算が、大幅続伸して着地し、今期第2四半期(2020年4月~9月期、2Q)累計業績に対して高利益進捗率を示したことから前期業績と同様に上方修正余地があり、割安としてバイオ関連のバリュー株買いが続いた。またアンジェス<4563>(東マ)が大阪大学と共同で推進している新型コロナウイルス感染症のDNAワクチン開発に同社も参画していることも関連株人気の再燃期待を高めている。

■CRO事業の営業利益は豊富な受注、受注残を背景に73%増益

 同社の今期1Q業績は、売り上げ31億7300万円(前年同期比16.2%増)、営業利益4億4700万円(同63.7%増)、経常利益7億3200万円(前年同期は4900万円の黒字)、純利益6億6400万円(同4100万円の赤字)と大幅続伸し、期初予想の今期2Q累計業績に対する利益進捗率は、63%~91%と目安の50%を大きく上回った。CRO(受託研究機関)事業の営業利益が、再生医療開発支援や新技術分野のサービスを強化し、昨年4月開始の大手製薬会社向けの創薬開発の包括的受託事業も順調に推移し、1Qの受注が前年同期比7.9%増、受注残が同3.1%増と豊富となっていることを背景に順調な稼働率となり同73.7%増と大きく伸び、医薬品開発の上流域の創薬基盤技術を開発支援するTR(トランスレーショナルリサーチ)事業でも、米国ナスダック市場上場のSatsuma pharmaceuticals(カリフォルニア州)の偏頭痛治療薬の第Ⅲ臨床試験が順調に推移していることなどが寄与した。

 今2021年3月期通期業績は、今期2Q累計業績とともに期初予想に変更はなく、このうち3月期通期業績は、売り上げ148億800万円(前期比1.7%増)、営業利益18億円(同19.2%減)、経常利益22億円(同29.5%減)、純利益18億円(同29.4%減)と減益転換を見込んでいる。ただ同社は、前期業績も四半期決算発表時の昨年11月と今年2月に2回上方修正しており、今期1Qの好決算から再現期待も高めている。なおアンジェスと大阪大学が共同開発のDNAワクチンでは、同社は非臨床試験での完全性の検証業務を中心に担当し、アンジェスは、8月7日に厚生労働省の「令和2年度ワクチン生産体制等緊急整備事業」に採択され交付基準額は93億8030万円と発表した。

■ストップ高頻発もPERは15倍台とバイオ株で出色の高バリュー

 株価は、今年2月の前期業績の再上方修正でストップ高して728円高値をつけ、コロナショック安の波及で年初来安値411円に突っ込み、売られ過ぎとして底上げし、DNAワクチン開発参画によるストップ高を交えて年初来高値786円まで91%高した。その後の600円台出没場面からは今期の1Q好決算で一時725円まで買い進まれ年初来高値を窺った。PERは15倍台とバイオ株では出色のバリューと値ごろ妙味を誇っており、市場全般のトレンドがグルース株売り・バリュー株売りを強めていることからも、年初来高値奪回で弾みをつけ昨年4月高値980円を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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