【注目銘柄】ヤマハ発動機は続落も「ウイズ・コロナ」で業績上ぶれを期待し突っ込み買い一法

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 ヤマハ発動機<7272>(東1)は、前日8日に41円安の2798円と4営業日続落して引けた。日経平均株価が、248円安と安値引けで急反落し、為替相場も、1ドル=110円割れの円高となったことが重なり、持ち高調整売りが増勢となった。ただ同社は、今年5月14日の今2021年12月期第1四半期(2021年1月~3月期、1Q)決算発表時に早くも今12月期通期業績の上方修正を発表し、V字回復を鮮明化させており、足元では東京都に4回目の緊急事態宣言が発出されたことから、「ウイズ・コロナ」需要の上乗せで業績上ぶれも期待され、この突っ込み場面は逆張りも一法となりそうだ。テクニカル的にも、この4営業日続落で5月14日の業績上方修正時に開けた窓をほぼ埋める調整となっており、仕切り直しの割安修正買いの手掛かりとなりそうだ。

■見直し為替レートは1ドル=106円、1ユーロ=128円でなお円安恩恵

 同社の今12月期業績は、期初予想より売り上げを350億円、営業利益を200億円、経常利益を250億円、純利益を180億円それぞれ引き上げ、売り上げ1兆7350億円(前期比17.9%増)、営業利益1300億円(同59.2%増)、経常利益2500億円(同54.0%増)、純利益900億円(同69.6%増)と大幅増収増益転換した。新型コロナウイルス感染症の収束、経済活動の正常化に伴う景気の持ち直しで、欧米市場で2輪車の販売が好調に推移、国内でも「三密」回避のオートバイ需要が高まり、米国市場ではマリン事業も売り上げを伸ばしたことなどが要因となった。

 想定為替レートは、期初想定の1ドル=103円を106円、1ユーロ=122円を128円へ円安方向に見直した。同社の為替感応度は、ドルが1円変動すると営業利益が5億円変動し、ユーロが1円変動すると同じく2億円影響する。足元の為替レートは、7月8日の米国市場で景気のピークアウトを懸念し、10年物国債利回りが約5カ月ぶりに一時1.25%と下げ1ドル=110円台割れ、1ユーロ=130円台割れと円高水準となったが、想定レートよりなお円安水準にあり、前期業績と同じく業績の再上ぶれ期待につながろう。

■PER10倍の割安修正に信用買い残の整理進捗も加わり再発進

 株価は、前期業績の1回目の上方修正で2239円高値まで43%高した。年明け後は、配当権利落ち後安値1995円からは前期業績の2回目の上方修正、今期業績のV字回復予想と続いて2882円まで上値を伸ばし、今期業績の上方修正では2725円から窓を開けて急伸し、年初来高値3380円まで65%高し、足元ではこの窓を埋める往って来いの調整となった。この間、証券各社の強気・弱気の投資判断が交錯して売り長となっていた信用取組も、売り残が減少する一方、買い残が増加するなどやや荷もたれ感があるが、この整理進捗にPER10倍台の割安修正、さらに「ウイズ・コロナ」関連株人気もオンして再発進、年初来高値奪回にチャレンジしよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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