【どう見るこの相場】「W」と「A」のコロナ混在の年末年始相場は日米同時株高銘柄にアプローチ

どう見るこの相場

 東京市場は、米国のニューヨーク(NY)市場のコピー市場といわれ続けきた。株価の高安、銘柄物色の方向性なですべてNY市場の後追いとなっている。外国人投資家が、最大の需要主体として先物取引、現物株取引とも売り越しか買い越しかでマーケットの主導権を握っているためだ。あと半月を残すのみとなった2020年相場も、年初のコロナ・ショックで暴落して、経済対策と金融緩和策でV字反騰し、ダウ工業株30種平均(NYダウ)が史上最高値を更新し、日経平均株価も、バブル相場崩壊後の戻り高値を更新し29年8カ月ぶりの高値水準を奪回と追随した。

 この間の政治状況も、国内では安倍晋三首相が辞任して9月に菅義偉内閣が成立し、米国でもきょう14日の選挙人投票でバイデン前副大統領の勝利が確定する政権交代が実現するなどほぼ同時進行した。足元のマーケットでは、米製薬大手ファイザーが共同開発したコロナ・ワクチンが緊急使用許可を取得し、今週にも英国に続き接種が開始され、経済の正常化期待で、「With(ウイズ)コロナ」が「After(アフター)コロナ」にステージを転換し、ハイテク・グロース株から景気敏感のバリュー株に人気交代するかセクター・ローテーションの分岐点となっている。

東京市場は、NY市場の「GAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)」のような巨大IT企業のグロース株は存在しないものの、景気敏感のバリュー株は、製造業比率が高いだけにそれこそ掃いて捨てるほど豊富だ。「ウイズ・コロナ」が「アフター・コロナ」に転換すれば、バリュー株の総上げでよりNYダウにキャッチアップ、来年相場では、日経平均株価3万円の強気観測も高まるかもしれない。

 問題は、「アフター・コロナ」の実現可能性となる。バイデン次期大統領は、12月8日の演説で来年1月20日の就任から100日以内に1億回(5000万人分)のワクチン接種を実現する方針を示したが、この100日間で感染を終わらせることはできないとしてなおマスクの着用を訴えた。これに対して国内でのワクチン接種時期はなお不透明で、来年6月以降となる可能性もある。この間、米国はもちろん国内でも新型コロナウイルス感染症の新規感染者や重症者、死者は過去最高となり医療体制の逼迫も厳しさを増しているのである。

 とういことで年末年始は、「ウイズ・コロナ」と「アフター・コロナ」の混在相場となることも想定される。そこでこの混在相場で日米同時株高となっている銘柄に注目したい。住宅建設株である。NY市場では、12月8日に2020年8月~10月期業績を発表した住宅大手のトールブラザーズが、足元の業績が、市場予想を上回って着地したものの、続く11月~2021年1月業績についてはこの反動減により慎重に予想し市場予想を下回ったとして株価が急落した。しかし米国の住宅建設指標は、過去最低の住宅ローン金利やコロナ禍で都市部から郊外に移住する住み替え需要を背景に好調に推移していることは確かである。

 国内でも、リモトワーク促進による郊外型住宅やテレワーク・スペースを確保できる都心の戸建て需要が拡大し、住宅関連銘柄の業績上方修正が相次ぎ、12月8日に閣議決定された事業規模73兆円超の追加経済対策に住宅エコポイント制度が導入されるなど追い風が吹く。米国市場で住宅建設拡大の恩恵を享受した銘柄、国内で巣ごもり関連需要を享受した銘柄など住宅建設株にアプローチしたい。

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