【どう見るこの相場】新NISA呼び込みのアピールレースは「稼ぐ力」のランキング上位銘柄に潜在パワー

どう見るこの相場

■日経平均、史上最高値に迫る!急騰相場の裏に何があるのか?

 「持たざるリスク」とか「八百屋の店先の大根以外すべてのカブは買い」とか「音楽が鳴っている間は、踊り続けなければならない」とかの超強気のマーケットコメントが、どこからか聞こえてきそうだ。無理もない。新年2024年の日経平均株価は大発会以来、わずか6営業日間で2111円高もの急騰を演じた。あのバブル相場当時の1989年12月29日の史上最高値3万8915円には年内にもタッチすると一部で観測されているが、このままハイペースが続けば、年内どころか1月中、あるいは節分ごろには更新する可能性も強まる計算となるからだ。

 マーケットでは、この急騰相場をリードしている需要主体が、いったい誰なのか議論となっているようである。ピンチの売り方が踏み上げに追い込まれた需給相場なのか、今回もやはり海外投資家主導型か、買い遅れたファンド筋の出遅れ買いか、あるいは今年1月からスタートした新NISA(少額投資非課税制度)による個人投資家のニューマネーの市場デビューなのかさまざまな見方をされている。

■バブル相場とは違う!日経平均の上昇は「稼ぐ力」に裏付けられたもの

 あのバブル相場の渦中でも、需要主体として「黒い目の外国人投資家」が話題になった。折からの「財テクブーム」のなか上場会社が、スイス市場で相次いで転換社債、ワラント債を起債して不要不急の資金調達をし、それが国内に還流して「黒い目の外国人投資家」としてバブル相場の演出に一役を買ったことを表していた。「ジャパンマネー」、「債権大国」と囃し立てられた潤沢なキャッシュフローも、いまとなってはカネ余りを背景にした銀行など金融機関の過剰融資だったことが明らかになっており、これが「不良債権大国」への転落の引き金となった。

 ただバブル相場当時と現在では、大きく異なる点がある。今年1月10日付けの日本経済新聞でも報道された上場会社の「稼ぐ力」の違いである。バブル相場では、バブル株価の上値をさらに買い上がるセールストークには大いに苦労した。最高値の3万8915円まで買い進むのには、翌1990年の日経平均株価の「5万円説」が、大手を振るったほどだ。個々の銘柄の株価も、株価を1株当たり純利益(EPS)で割って算出するPER(株価収益率)が、50倍にも100倍にもなっており、PERに変わる投資尺度として、保有土地を時価換算する含み資産や株価を1株当たり売上高で割るPSR(株価売上高倍率)、さらに保有設備の再生産コストを適正株価と計算する経済理論「トービンのq」も援用された。

 しかし現在は、日経平均株価の全構成銘柄平均のPERは15.63倍の評価にしか過ぎない。また配当利回りも、かつては安定配当の年間5円、10円などが当たり前でインカムゲイン妙味は限定的だったが、現在は100円、200円は当たり前で配当のケタが違っている。PBR(株価純資産倍率)も、含み資産まで計算して含めなくても株価が、1株当たり純資産(BPS)を割り解散価値を下回る銘柄が多数にのぼっており、東証が上場会社にPBR1倍への達成を要請し、きょう15日からは資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を開示した上場会社を公表するなど大号令を掛けるほどである。

 こうした市場環境下では、上場会社は、新たに市場デビューしてくる新NISA口座開設のビギナー投資家向けなどに自社株価の優位性をアピールすることを迫られるのは理の当然となる。すでに増配、自己株式取得・消却、株式分割などの株主優遇策がラッシュとなっているが、さらにアピールレースが熾烈化するはずである。そのベースは、あくまで「稼ぐ力」である。

 そこで今週の当コラムでは、「稼ぐ力」を象徴する手っ取り早い指標のEPSと、上場会社が投資家の投下した資本に対してどれだけの利益を上げたか算出するROE(自己資本利益率)のランキングの上位銘柄のうち、投資採算的に割安な銘柄に注目することにした。足元の全般相場は、前週末のダウ工業株30種平均(NYダウ)が、3日ぶりに反落し、日経平均株価が、33年11カ月ぶりの高値となった東京市場でも、投資家の市場への心理状態を表す恐怖指数(VIX指数)が、22.40と巡航速度の20を超えており、なお紆余曲折も想定されるところだが、潜在アピール・パワーを期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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