【編集長の視点】sMedioはモバイル関連の積極的なM&Aで業績期待を高めて急続伸

編集長の視点

sMedio<3913>(東マ)は1日、470円高の4180円まで上げて急続伸している。前週末29日大引け後にモバイル関連事業を展開する情報スペース(岡山市南区)の全株式を取得して子会社化すると発表、同社の主力事業のソフトウエアライセンス事業に次ぐ多角化事業が強化され展開力が増すとして業績期待を高めて買い増勢となっている。同社株は、今年5月26日にも同社のリモート視聴技術を富士ソフト<9749>(東1)に提供することを発表して株価が急伸、今年5月14日につけた上場来安値3220円からの底上げを鮮明化しており、再現期待も高めている。

■NTTドコモのスマホユーザーなど300万以上のDL獲得実績

同社は、パソコン、テレビ、スマートフォン、モバイル端末などの異なる機器同士をWi―Hiなどの無線通信でつなぐ世界市場で通用するソフトウエアを開発・販売し高成長を続けているが、このソフトウエアライセンス事業に次ぐ成長シナリオとしてサブスクリプション課金・ダウンロード課金によるビジネスモデル展開でモバイル業界への積極的な事業展開を進めており、この一環として情報スペースの全株式を6月2日予定で7800万円で取得し子会社化する。情報スペースは、データバックアップサービスを今年3月末現在でNTTドコモ<9437>(東1)のスマートフォンユーザーを中心に300万以上のダウンロード(DL)ユーザーを獲得しており、同サービスをsMedioに取り込みモバイル業界への積極的な事業展開につなげる。情報スペースは、2012年11月に設立され前2015年3月期は、売り上げ9200万円、経常利益500万円、純利益300万円と黒字を継続しており、sMedioの今12月期業績への影響は軽微にとどまる見込みだが、将来の事業拡大には有利となり業績期待も高まる。

株価的にも、同社株は、5月26日に家庭用セット・トップ・ボックスなどにデジタルTVを宅外からインターネット経由でリモート視聴を追加できるミドルウエアおよびクラウド・サービスを富士ソフトに提供すると発表するなどして400円幅の急伸を演じており、再現思惑を高めている。

一方、同社の今12月期業績は、売り上げ12億2800万円(前期比25.3%増)、営業利益3億1600万円(同59.3%増)と大幅続伸が予想され、今年3月の新規株式公開(IPO)に伴う上場準備費などの影響で経常利益は3億100万円(同1.0%減)、純利益1億9600万円(同3.4%減)と小幅減益転換が見込まれている。ただ、今年5月12日に開示した今期第1四半期業績は、売り上げが3億3900万円と四半期売り上げとして過去最高となり、営業利益1億600万円、経常利益9900万円、純利益5800万円と前年同期比較はないものの、通期予想に対し高利益進捗して着地しており、その後の相次ぐライセンス契約の締結などから決算期末にかけての業績上ぶれ観測も高まりそうだ。

■最高値から最安値への3分の1戻し水準を固めリバウンドに拍車

株価は、今年3月に公開価格2520円でIPOされ4000円で初値をつけたあと、再三のストップ高を交えて上場来高値5340円まで買い進まれ、上場来安値3220円へ調整したが、大手メーカー向けへの相次ぐ新規ソフトウエアの提供開始などで底上げ、最高値から最安値への調整幅の3分の1戻し水準を固めていた。ここからまず初値奪回からリバウンド幅拡大に拍車を掛け、半値戻し、3分の2戻し、全値戻しと加速しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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