【注目銘柄】バリオセキュアは上場来安値も期末の配当取りを手掛かりに悪目買いも一法

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 バリオセキュア<4494>(東2)は、前日1日に13円安の1669円と変わらずを含めて7営業日続落し、取引時間中には1689円安値をつけ今年1月28日につけた上場来安値1701円を更新した。同社株は、昨年11月30日に公開価格2250円で新規株式公開(IPO)され、以来一度も公開価格に届かず下値を探る動きを続けてきており、今週2月5日から2021年のIPOがスタートすることから、乗り換えの換金売りも交錯してダメ押しとなった。ただ2月期期末の接近とともに、IPO株の少数派の有配会社として期末配当39.44円の配当権利取りを今2021年2月期の上場関連費用控除後の実質増益業績が支援する展開も想定され、悪目買いも一法となりそうだ。

■セキュリティ事業が84%を占めストック効果で安定収益源

 同社は、昨年3月にIPO予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響により11月に延期された再上場案件である。今2021年2月期業績は、売り上げ25億3000万円(前期比0.7%増)、営業利益7億6000万円(同3.6%減)、税引前利益7億500万円(同2.5%減)、純利益4億8900万円(同1.7%減)と見込み、年間配当は、39.44円を予定している。売り上げの約84%を占めるマネージセキュリティサービス事業は、セキュリティ機器の導入から管理・運用保守までをワンストップで主に中小企業向けに提供しており、昨年9月末で全国47都道府県に7300拠点を展開し、顧客企業は2915社に達している。同事業は、ユーザーから定額の利用料を徴収するストックビジネスであり、顧客企業の解約率が0.9%と低水準にとどまっていることから安定収益源として業績寄与している。今期業績の減益転換予想は、上場関連費用を計上するためで、これを控除すると実質的に営業利益で0.3%増益、純利益は同2.7%増益となる。

 IPO後の初決算として今年1月12日に発表した今期3Q業績は、前年同期比1.5%増収、3.1%営業減益、3.1%税引前利益減益、2.0%純益減益で着地したが、やはり上場関連費用を控除すると営業利益は5.1%増、純利益は5.2%増と実質的に続伸した。昨年5月にオプションとして追加したリモートワークを実現する「リモートVPNサービス」なども上乗せとなった。このため、上場関連費用が一巡する次期2022年2月期業績への期待は高く、東洋経済会社四季報最新号では、純利益を5億4000万円、年間配当も、配当性向を30%とする配当政策から43.47円と観測している。

■上場関連費用控除ベースでPER12倍と売られ過ぎで3分の1戻しにトライ

 株価は、公開価格2250円に対して再上場案件で所属市場がIPO人気の低い東証第2部であることから2150円で初値をつけ、2244円と小戻したものの、1700円台へ下値を模索する動きが続き、今期3Q業績期待で1870円までリバウンドしたが、3Q減益業績を嫌って上場来安値1698円まで売られ底値模索中である。PERは、上場関連費用控除ベースで12倍台、配当利回りも2.32%と割安であり、配当権利取りからリバウンド幅も拡大し、まず最高値から最安値への調整幅の3分の1戻しの1874円へトライしよう。

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