【編集長の視点】トーセイ、株式分割の権利取り再燃を業績再上方修正・再増配が支援

■区分マンション販売と賃貸収入増が利益押し上げ

 トーセイ<8923>(東証プライム)は、25日移動平均線を出没する三角保ち合いから上放れる動きを強めている。同社株は、今年11月30日を基準日に株式分割を予定しているが、今年11月に発表した今2025年11月業績の2回目の上方修正と今期配当の2回目の増配を手掛かりに株式分割の権利取りが再燃した。テクニカル的にも、9月30日につけた上場来高値3535円から相場全般の「AI(人工知能)株買い、バリュー株売り」の影響を受け高値調整を続けてきたが、75日移動平均線で下値を確認し25日線を上抜いたことから買い転換したとして側面支援材料視されている。

■区分マンションの販売が進捗し賃貸収入増、ホテル事業の上ぶれも寄与

 株式分割は、投資単位当たりの金額を引き下げて投資しやすい環境を整備し、同社株式の流動性向上と投資家層の拡大を図ることを目的にしている。11月30日を基準日に1株を2株に分割する。また今期年間配当は、今年7月に続いて11月にも2回目の増配を発表しており、期初予想の89円(前期実績79円)が、100円に大幅増配を予定しており、この配当権利取りの基準日も11月30日になる。

 一方、今11月期業績は、今年7月に期初予想を上方修正し、その修正値を11月5日に再上方修正した。売り上げは8月修正値より30億9900万円引き下げたが、営業利益を4億2300万円、税引前利益を5億円、純利益を3億9900万円それぞれ引き上げ、売り上げ950億2600万円(前期比15.6%増)、営業利益220億4000万円(同19.2%増)、税引前利益203億円(同16.9%増)、純利益144億8400万円(同20.8%増)と見込み、純利益は、連続過去最高更新の更新幅を拡大させる。不動産事業で販売計画を戦略的に見直し一部物件の売却を翌期以降に繰り延べたことで売り上げは下方修正されたが、利益は区分マンションの販売進捗、保有不動産の賃貸収入増、ホテル事業の収益上ぶれなどが要因となって2回目の上方修正となった。

■分割・再増配の権利取りに加えPER11倍の修正で値幅取り効果も

 株価は、今期業績の続伸・増配予想に自己株式取得が続いて2510円と買われ、トランプ関税による世界同時株安時に年初来安値2010円と売られたが、信託受益権売却、1回目の業績上方修正・増配、株式分割とポジティブ材料が続いて上場来高値3535円まで買い進まれた。同高値後は、「AI株買い、バリュー株売り」の市場センチメントの影響で高値調整となったが、75移動平均線で下値を確認するとともに2回目の業績上方修正・増配とともに株式分割の権利取りも再燃してリバウンドし25日線を上抜いた。PERは11.0倍、配当利回りは3.0%となお割安であり、権利取り妙味とともに上場来高値3535円を上抜き上値チャレンジする値幅取りのキャピタル・ゲイン妙味も示唆している。(情報提供:日本インタビュ新聞・インベストメントナビゲーター:株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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