【編集長の視点】京阪神ビルは高値期日一巡を先取り業績上方修正・増配を買い直して反発

 京阪神ビルディング<8818>(東1)は、前日15日に15円高の1545円と反発して引け、今年3月5日につけた直近安値1476円からのリバウンド幅を拡大させた。同社株は、昨年11月に「もの言う株主」の株式公開買い付け(TOB)により上場来高値2200円まで急騰し、以来調整相場が続けてきたが、同高値の信用期日が一巡するのを先取り、需給調整が十分として下げ過ぎ訂正買いが再燃した。今2021年3月期の純利益が、2回も上方修正され、配当も7期連続で増配を予定し、自己株式取得を進めていることも、買い手掛かり材料として意識されている。

■純利益は2期ぶりに過去最高を大幅更新し7期連続の増配

 同社株へのTOBは、同社が反対意見を取締役会決議したなか、同社株主となっているストラテジック・キャピタルにより敵対的なTOBとしてTOB価格を1900円、買い付け期間を昨年11月5日から今年1月12日までとして進められた。TOBの結果は、取得株式数の下限に達せず不成立となった。株価は、1879円からTOB開始とともにTOB価格を上回る2200円高値まで急騰したが、その後は、TOB不成立で急落し1476円まで倍返しとなる調整を続けた。

 一方、同社の今2021年3月期純利益は、昨年10月に投資有価証券売却益9億円を計上することで1回目の上方修正をし、今年2月には同じく投資有価証券売却益50億円を計上することから2回目の上方修正を発表、昨年10月の上方修正値をさらに37億円引き上げ82億円(前期比2.09倍)と大幅増益転換し、過去最高の39億9800万円(2019年3月期)を2期ぶりに大幅更新する。配当は、年間31円(前期実績27円)と7期連続の増配を予定している。また自己株式取得を上限を187万5000株(発行済み株式数の3.61%)、取得総額30億円、取得期間を今年3月1日から9月15日までとして推進中で、取得全株式を10月8日に消却予定である。

■信用買い残は大きく減少しPER9倍の修正でまず半値戻し

 株価は、TOB発表とともに300円超の急騰となり、この時点での信用買い残は176万株を超え信用倍率も4.19倍と拡大した。その後は、TOBの買い付け期間の延長などTOBがやや不調だったことで下値を探り、TOB不成立とともに急落し1476円まで倍返しの調整となり、信用買い残も足元で13万株超まで減少した。PERは9倍台と大きく割り負けており、高値期日が一巡する5月を前に期日向かいでリバウンド幅を拡大、まず上場来高値から直近安値までの調整幅の半値戻しの1800円台奪回に動こう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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